2014年3月号掲載
脱ニッポン富国論 「人材フライト」が日本を救う
- 著者
- 出版社
- 発行日2013年12月20日
- 定価814円
- ページ数253ページ
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著者紹介
概要
節税を目的に日本人が資産を海外に持ち出す状況を、著者が『資産フライト』で描いたのは2年前。そして今、マレーシアなど新興アジアへ移住する日本人が急増している。本書は、カネばかりかヒトまでもが日本を出て行く、この「人材フライト」の実態を報告、日本の未来像を模索する。意外にも、日本脱出の動きを非難せず、逆に奨励することが日本を救うという。
要約
アジアへ向かう日本人
海外で長期滞在したい国として、今、日本人に一番人気があるのはマレーシアである。
なぜマレーシアに日本人は惹かれるのか? まずいえるのは、もともと老後の移住先として人気が高かったことがある。ハワイやオーストラリアなどに比べ移住のハードルが低く、年金受給者でも現地物価が安いため満足いく暮らしが可能だ。
また、最近はグローバル教育環境も整備され、母子留学、教育移住も気軽にできるようになった。
マレーシアに限らず、海外に出て行く日本人は年々増加している。その目的も、投資、リタイアメント移住、教育移住、親の介護のための移住、あるいは海外就職移住と、多種多様になった。
外務省の統計によれば、海外に住む日本人は2011年10月時点で118万人。前年比で3%増加している。10年と09年はそれぞれ1%増だったので、その増え方は加速している。
地域別に見ると、北米が約45万人で最も多く、次がアジアの約33万人。アジアは5年前に比べ19%も増えており、全体の伸び率11%を上回る。
アジア各国を回ると、留学生あるいは現地企業で働く、多くの日本人の若者に出会う。
ひと昔前は、留学といえば欧米だった。だが、最近はアジアに向かう若者が増えている。
これは、1つには学費が安いからだろう。その上、近年、アジア各国の教育レベルは著しく上がった。「アジア大学ランキング2013」によると、1位は香港科学技術大学、2位はシンガポール国立大学と香港大学。日本の東京大学は9位だ。
日本の若者がアジアを目指すようになったのは、日本企業がアジア展開を本格化させたことも、大きな要因である。企業が出て行けば、カネも人も出て行く。若者がその後追いをするのは当然だ。
アジアを歩いて若者たちに会い、話を聞いて私が思ったことはただ1つ。彼らは将来、絶対に日本国内だけでは暮らさないだろうということだ。