2014年8月号掲載
世界標準の働き方 日本式ガラパゴス仕事から脱しよう
著者紹介
概要
長い間、外部と隔絶されたガラパゴス諸島の生物は、免疫力が弱く、絶滅の恐れがあるという。日本人もそう。独特の、長時間残業する非生産的な働き方のままでは、世界で通用する人材になれず、将来、路頭に迷いかねない。トリンプなど外資系企業で活躍した著者が、そんな現状にメスを入れ、「より短い時間で、より高い成果を上げる」、世界標準の働き方を説く。
要約
日本の問題点はリーダーにあり
「日本の常識は世界の非常識」とよく言われる。私はドイツやフランスなど世界の国々を見てきて、それを痛感している。
ただし、2つに分けて考えるべきだと思っている。1つはリーダー。もう1つは一般国民だ。
国民は優秀だが、リーダーは世界三流の日本
日本国民は優秀だ。秩序正しく、礼儀正しく、とても親切だ。一方で、日本のリーダーは全く逆。世界中でこんなにレベルの低いリーダーたちはいないのではないかと思うほど、情けないレベルだ。
世界の標準レベルに達していないという意味で、日本のリーダーは「世界の非常識」だ。
それは、政治の世界を見るとよくわかる。国民におもねることしかできない、困難な時代に国民をリードすることができない政治家が大半だ。
企業のリーダーも政治家と似たようなものだ。社長や役員はなぜか現場を省みない。役員室で会議を開き、何カ月もかけて計画ばかり作っている。
現場から離れて10年も20年も経ったリーダーたちが役員室で作った計画は、仕事の現実から乖離しすぎていて、現場では全く役に立たない。
社員に考えさせ、社員に任せてしまえばもっと売上が上がるのに、優秀な社員の足を社長や役員が引っ張っている感じである。
こういう経営者は、結果を重要視する欧米の企業ではすぐに解任されるが、日本では解任されることはなく、いつまでもしがみついて辞めない。
これからの時代は、好むと好まざるとにかかわらず国際化の波に一層巻き込まれていく。リーダーになる人が世界標準のリーダーシップを発揮できないと、国や会社そのものが負けてしまう。
日本に求められる世界標準のリーダー
東日本大震災の時、福島で原発事故が起きた。この時の日本政府とフランス政府の対応を比べると、日仏のリーダーの違いがよく見えてくる。