2014年12月号掲載

英エコノミスト誌のいまどき経済学

Original Title :ECONOMICS:Making Sense of the Modern Economy(3rd Edition)

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概要

全世界のエリートが愛読する英『エコノミスト』。1843年創刊の同誌は、経済はもちろん、世界中の政治、ビジネス、科学技術などの最新情報を分析、解説する。名物は、超一流の経済ジャーナリストたちが執筆する、経済学に関する良質なコラムの数々だ。本書は、その中から選りすぐりの記事をまとめたもの。世に溢れる月並みな議論とは一味違う見方が示される。

要約

何を計測するかが問題だ

 米国の住宅市場の崩壊に端を発する金融危機は世界中に波及し、本格的な景気後退へと発展した。

 こうした状況の中、経済政策に関する議論が百出し、多くの“通念”に異が唱えられるようになった。エコノミスト誌ではそうした議論に、分析、オピニオンを交えて斬り込んでいる。

 本書はそうした記事をまとめたものである。

*  *  *

 米国人はどれくらい裕福なのか? フランス人はどうか? インド人は? ガーナ人は?

 これに対して経済学者が示す最もシンプルな答えは、各国の1人当たりの国内総生産(GDP)だ。

 確かに、GDPは物質的な生活水準を知るのに適した指針となるだろう。米国人やフランス人は平均的にインド人やガーナ人より裕福だ。

 しかし、それは完全な真実ではない。インド人は貧困を極めていても、幸せだと言うかもしれない。米国人は十分な食事をとれていても、日々うんざりしているかもしれない。

「GDP崇拝」を捨てよう

 そこで近年、経済学者は豊かさを測る他の基準に目を向け、かつては定量化などばかげていると思われていた「幸福」にまで手を伸ばし始めた。

 それに賛同したのが、仏大統領のニコラ・サルコジだ。

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