2015年7月号掲載
人間関係の秘訣は、カーネギーに聞け
著者紹介
概要
自己啓発書の原点にして最高峰 ―― 。1936年の初版刊行以来、世界中で読まれ続ける、デール・カーネギーの古典的名著『人を動かす』を、最新の対人心理学の視点から捉え直した。「人を動かすための3つの基本原則」など、人生・ビジネスの“不変の原理原則”が心理学的な裏付けのもと、わかりやすく説かれる。彼の本を読んだ人もそうでない人も、一読の価値ありだ。
要約
「人を動かす極意」
世界的なベストセラーである、デール・カーネギーの古典的名著『人を動かす』。
この本で彼が説く人間関係の原理原則を、現代の人たちがよりよく理解できるよう、対人心理学の視点からとらえ直し、人間関係の様々な悩み、問題を解決するための秘訣や方法を提案したい。
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カーネギーは、人間関係における最も重要な原則として、次の「人を動かすための3つの基本原則」を挙げている。
①批判しない、非難しない、文句をいわない
カーネギーがいいたいのは、人を批判したり、非難したり、文句をいったりしても、相手はなかなかそれを素直に受け止めない、ということだ。
なぜなら、たいていの人間は、「自分が間違っている」とは思っていないからである。
従って、上司が部下のミスや能力のなさを指摘し、批判したり、文句をいったりしても、それが改善されることはめったにない。それどころか、そんな上司は部下から嫌われるだけだ。
人は自分を嫌いな人を、決して好きにはならない。自分を嫌いな相手に対しては、自分も相手を嫌いになる。これは「嫌悪の報復性」といい、対人心理学における基本原則の1つである。
だからカーネギーは、とにかく「批判や非難をするな、文句をいうな」と説くのである。
②真心を持って素直にほめる
カーネギーは、「人は、自分が欲しいものを手に入れようとする時に積極的に行動する」という。だから、人を動かすには、「その人が欲しがっているものを与えてやればいい」という。
これは、対人心理学でいう「報酬勢力」だ。報酬勢力とは、「自分が欲しいと思っているものを他人が持っていて、その人の指示に従えば、それが自分の手に入る」と人に期待をさせる力のこと。