2015年10月号掲載

ジェネレーションフリーの社会 日本人は何歳まで働くべきか

ジェネレーションフリーの社会 日本人は何歳まで働くべきか ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

もう年金には頼れない ―― 。少子高齢化によって、年金制度が危機に瀕している日本で、これからどう暮らしていけばよいのか? カギとなるのは、“生涯現役”で働くこと。老若男女すべての国民が働く社会、「ジェネレーションフリー」の社会が実現すれば、年金に頼らずとも生きていける! そんな社会を創るために必要な考え方、具体的な方策などを提言する。

要約

スウェーデンの共生社会に学ぶ

 日本の公的年金制度は危機に瀕している。

 現行の制度は、「世代間扶養」の年金制度である。現役世代の支払った保険料が、退職した高齢者の世代に給付される。だが、それが行き詰まるのは目に見えている。少子高齢化が進み、人数が減っていく現役世代で、人数が増えていく高齢世代を扶養していくのは、どだい無理な話だ。

スウェーデンの年金制度改革

 では、高齢者はどのようにして老後を暮らせばよいのか。スウェーデンの例が、その参考になる。

 同国では、1990年代初頭にバブルが崩壊。政府の財政が一気に赤字となり、公的年金制度を維持するのが困難な状況に陥った。

 危機感を持った政府は、1999年に公的年金制度に大ナタを振るった。従来の基礎年金と所得比例年金の2階建ての年金制度から、所得比例年金のみの1階建ての年金制度に移行したのだ。

 国民に政府の財政状況を訴え、国民の痛みを伴う改革を断行した。国民はそれを受け入れた。世界は、政府に対する国民の信頼の高さに驚くとともに、スウェーデンの年金制度改革を称賛した。

 ところが、その称賛の公的年金制度が再び行き詰まり、2012年2月、ラインフェルト首相は年金支給開始年齢の75歳引き上げに言及した。最大の原因は、政府の再びの財政赤字だ。

 とはいえ、福祉の削減のみが発言の真意ではない。首相の発言には、それ以上に、高齢者にやりがいを持って働いてもらえるような社会を創ろうとの考えがある。ラインフェルトは言う。

 そのためには、働く人たちの多様なキャリアパスを受け入れる体制を整えることだ。例えば、55歳で会社を辞めて、次の20年のために勉強をして再び新たな会社に入る。そうしたことが当たり前になる社会を創ろうということだ。

 スウェーデンは「共生」の社会、人と人とのつながりを大切にする「連帯」の国だ。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2) 100年時代の行動戦略

アンドリュー・スコット 東洋経済新報社

儒教とは何か 増補版

加地伸行 中央公論新社(中公新書)

ハピネス・カーブ 人生は50代で必ず好転する

ジョナサン・ラウシュ CCCメディアハウス

良心をもたない人たち

マーサ・スタウト 草思社(草思社文庫)