2022年1月号掲載
LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2) 100年時代の行動戦略
Original Title :THE NEW LONG LIFE
著者紹介
概要
人生100年時代を、どう生き、働くか。迫り来る長寿社会の人生のビジョンを示し、好評を得た『LIFE SHIFT』の実践編だ。長寿化に伴い、職業人生も長くなる。若者と高齢者の人口比が変わる中、世代間の関係も軋み始めた。この様変わりしつつある世界で、良き未来をつくるための生き方を、経済学と心理学の専門家が指南する。
要約
物語:人生のストーリーを紡ぐ
いままでは、誰もが3つのステージの人生を送るのが当たり前だった。それは、フルタイムで教育を受ける段階、フルタイムで仕事に携わる段階、フルタイムで引退生活を送る段階だ。
だが、長寿化の進展により、人は昔より長い人生を生きるようになった。よって、3ステージではなく、マルチステージの人生が当たり前になる。
こうした時代に生きる人間は、いくつかの重要な問題に向き合わなくてはならない ―― 。
年齢に対する考え方を変える
まず、年齢に対する考え方を変える必要がある。私たちは、生まれてから現在までの年数(暦年齢)という単一の基準でしか年齢を考えていない。
だが、生物学的年齢(肉体がどれくらい若いか)、社会的年齢(社会でどう扱われているか)、主観的年齢(自分がどのくらい老いている・若いと感じているか)といった概念も存在する。
ある人がどのような老い方をするかは、その人が加齢についてどのような主観的感覚をいだいているかにも影響される。様々な研究によると、年齢を重ねることを前向きにとらえている人は、否定的にとらえている人に比べて平均7.5年長く生きるという。
時間に対する考え方を変える
教育→仕事→引退という3ステージの人生を生きる人たちは、次のような時間の使い方をする。
第1ステージでは、スキルを育むことに時間を費やす。第2ステージでは、引退後の資金を蓄えようと仕事に打ち込む。第3ステージでは、蓄えた資産を取り崩しながら、余暇を楽しんで過ごす。
このモデルでは、第2ステージの時間的負担が極めて大きい。キャリアを確立するために猛烈に働き、かつ老後資金も蓄えなくてはならない。
だが、人生が長くなれば、様々な活動を行う時期を分散できる。人生の核を成す活動(学習、勤労、余暇)を人生全体に割り振れば、各ステージにおけるストレスを軽減できる。例えば、生涯にわたり学習し続けてもいいし、余暇の時間を引退後に集中させず、人生全体に振りわけてもいい。
長期化する職業人生
100歳まで生きることを考えた場合、現役時代に所得の10%を貯蓄に回すと仮定すると、引退後に最終所得の半分程度の生活費を確保したい人は、70代後半~80代前半まで働く必要がある。