2016年2月号掲載
IoTビジネスモデル革命
著者紹介
概要
「IoT」(Internet of Things)とは、モノをネットワークにつなげ、情報のやり取りを行う“モノのインターネット”のこと。今日、車から体温計まで、様々なモノがネットにつながり、人の手を煩わさずに情報を得、制御できるようになりつつある。IoT。大きな可能性を秘めたこの技術の特徴、活用法を、最新の事例を交え解説する。
要約
「IoT」とは?
電車や温度計、エアコンなど、モノがネットワークにつながり、離れた場所で情報のやり取り(モノの状態を知る、制御するなど)ができるようになること。これを「モノのインターネット」、略して「IoT(Internet of Things)」という。
近年、このIoTに対する関心が高まっている。また、米国のGEが提唱する「インダストリアル・インターネット」や、ドイツ政府が推進する「インダストリー4.0」、日本の経済産業省が旗印として選んだ「サイバーフィジカルシステム(CPS)」など、類似の概念を各国の企業や政府が掲げ、主導権を握ろうと競い合っている。
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では、IoTはどのような技術として発展してきたのだろうか。
「モノのインターネット」という言葉が初めて登場したのは、1999年のことだ。考えたのはRFID(無線タグやICタグとも呼ばれる)技術の専門家であるケビン・アシュトン。
RFIDとは、電波を当てると作動する小さな電子回路を使い、その回路と無線で情報をやり取りする技術である。身近なところでは、Suicaなどの交通系ICカードにも使われている。
RFIDは電源が不要なため、様々なモノに埋め込み、デジタル情報を付加できる。例えば物流上の商品にタグをつけ、配送状況をネットで追跡するといった対応が可能になるのだ。
アシュトンはこうした状況を「モノのインターネット」という概念で捉え、様々なモノがインターネットに接続することで、社会のあり方が一変するだろうと考えた。ただ現在と比べれば、1999年はそれほど情報技術が高度化しておらず、RFIDでできることは限られていた。
しかし21世紀最初の10年で、IoTを実現するのに必要な情報処理能力や通信能力などが加速度的に発展した。その結果、様々なモノをネットに接続させることが可能になり、それを利用したサービスも次々に登場してきている。
あるべき姿を実現する
では、IoTが実現する様々な利点を活かし、どんなビジネスが築かれているか、次に見ていこう。