2016年7月号掲載

IoTビジネスをなぜ始めるのか?

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著者紹介

概要

最近、「IoT」(Internet of Things)という言葉を、新聞やTVでよく見聞きする。モノのインターネット。この新たな技術を自社のビジネスに導入する方法を、工学院大学教授が具体例を交え、説く。事例や技術にとらわれず、「IoTで何が解決できるのか」を理解すれば、自社ビジネスで何を目指せばよいかが見えてくるという。

要約

「IoT」とは

 約10年前、「クラウド」という言葉が一大ブームになった。クラウドとは文字通り「雲」のこと。もともとはグーグル社の元CEOエリック・シュミット氏が、インターネット越しに提供されるサービスのことを「雲のようなもの」と表現したことに始まるといわれている。

 クラウドがブームになった時、ITに関わる多くの国内ユーザーやメーカーが、「クラウドとはどのようなモノか」「クラウドでカギとなる技術は何か」という探索を一斉に開始した。

 インターネットサービスとしてグーグルやアマゾンが成功を収めているので、それらの企業と同様に自社が成功するには「どんなモノが必要なのか」「どんな技術を導入すれば成功するのか」という動機から、そのような行動が多く見られた。

 ところが、語源が示す通り、クラウドはモノではない。特定の機能がネットワーク経由で提供される状態、あるいは、そうした「コト」を表現しているにすぎない。

 コトを実現するために必要なモノや技術は存在するが、モノを導入すれば自動的に実現できるわけではない。コトはビジネスそのものの問題であり、すべてのビジネスパーソンが自分の問題としてとらえるべき課題なのだ。

 クラウドの次にやってきたブームは、「ビッグデータ」だ。これは文字通り「大量のデータ」を意味しているが、このブームの背景にあるのもアマゾンなどのインターネット企業の成功である。

 ここでも「ビッグデータでビジネスを成功させるのに重要な技術は何か」といった議論が展開された。もちろん、データベース技術なども重要だが、導入すればビジネスが成功するわけではない。

こうしてIoTがやってきた

 こうした流れの延長として、「あらゆるモノやヒトからデータが集められ、それらがインターネットで共有されれば、今までになかったすごいことができるかもしれない」という期待感が高まった。これが「モノのインターネット」といわれる、「IoT(インターネット・オブ・シングス)」ブームである。

IoT事例の基本形

 それには、「事例」を研究することが近道だ。事例を一段高い立場から俯瞰し、抽象化する。そうすることで、その事例を起点に自社ビジネスの課題解決を実現することができる。

 事例の抽象化に当たって必要なのは「テンプレート」である。

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