2017年2月号掲載
2040年全ビジネスモデル消滅
- 著者
- 出版社
- 発行日2016年12月20日
- 定価880円
- ページ数235ページ
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著者紹介
概要
現在、質より量のマクドナルドの業績は低迷し、お金はかかるが楽しいディズニーランドは隆盛を極めている。本書は、両社の盛衰を軸に、日本社会の価値観、不動産等々のビジネスモデルの変遷を読み解くもの。著者いわく、ディズニーランド型ビジネスモデルもいずれ行き詰まり、2040年頃、日本は恐るべき現実に直面する!
要約
マクドナルドとディズニー、そして不動産
アメリカ資本主義の旗手でもある、マクドナルドとディズニーランド。20世紀半ばに誕生した両社は、その後、世界中にその名が知られるほどの飛躍的な発展を遂げてきた。
だが21世紀になると、両社の業績の伸長に大きな差異が現れる。マクドナルドが低迷する一方で、ディズニーランドは映画などで次々とヒット作を生み、世界中に販路を広げていく。
この2つの巨大企業の盛衰の中に、日本の不動産、そして全てのビジネスで生じる価値革命の動きを読み解くヒントがある。両社の盛衰を追いながら、その動きと社会の変質を見ていこう。
マクドナルドの盛衰
1971年、マクドナルドは東京銀座に日本の第1号店をオープンさせた。以降、同社は順調に業績を伸ばし、外食産業のトップに躍り出る。日本の経済成長とともに店舗網を拡大し、90年には47都道府県全てに出店、「全国制覇」を達成する。
ところが日本は、その後バブルの崩壊からデフレ経済への「深くて暗いトンネル」に突入する。
破竹の勢いだったマクドナルドとて、この影響を受けないわけにはいかない。95年、デフレに対応すべく、ハンバーガーの値段を大幅に下げた。
単価を下げると、客数を伸ばさないと売上が減る。そこで店舗を急拡大、95年に1479店舗であったものが、2000年には2.4倍の3598店舗に達した。店舗数の拡大につれて売上高も拡大したが、その伸びは店舗数の伸びほどではなかった。
この過程で、マクドナルドのハンバーガーは完全にコモディティ商品となった。そば・うどんと変わらない、ごくありふれた存在になったのだ。
価値を創造し続けるディズニー
上述のように、1995年以降、マクドナルドは商品の値段を下げ、出店攻勢をかけて「規模の経済効果」による売上増を狙っていった。
一方、ディズニーランドは、既存施設のリニューアル、新規アトラクションの開業など、自らの“価値”を上げていくことに余念がなかった。
ディズニーランドは96年から2016年の20年間で、計8度の値上げを行っている。全ての経営資源を本拠地のみに集中投資し、顧客に対して、「最高のものをお届けしますからぜひ観に来てください」と宣言する同社は、自らが持つ価値観の維持発展を何よりも優先しているのだ。