2017年10月号掲載

ゾーンマネジメント 破壊的変化の中で生き残る策と手順

Original Title :ZONE TO WIN

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著者紹介

概要

世界的ベストセラー『キャズム』の著者が、破壊的変化の時代に企業が生き残る策を指南する。示されるのは、企業活動を4つのゾーンに分割し、別々にマネジメントする方法。各ゾーンが生産性向上や新規事業創出などの異なる目標に取り組むことで、破壊的変化を自ら起こすと同時に、他社の攻撃を防ぐことができるという。

要約

プライオリティの危機

 現代のビジネスを特徴付ける要素 ―― それは、スピードと破壊的変化だ。

 次々に登場する次世代テクノロジーの波が、ビジネスを継続的に変化させている。これはテクノロジー市場でも、他の市場でも同様だ。

 この結果、地位を確立した既存企業にとって、2つの緊急課題が生じる。

 1つは、自社が破壊的変化を起こしたいと考えている市場で、テクノロジーの「次の波を捕まえる」こと。もう1つは、自社が既得権を有し他社からの破壊的変化にさらされている市場で、「次の波が自社を捕まえることを防ぐ」こと。この2つの課題に、企業は対応する必要がある。

 いずれの場合も企業は、「プライオリティ(優先順位)の危機」を経験することになる。トップ中のトップ企業でない限り、この危機を回避するのは難しい。その理由を見ていこう。

次の波を捕まえる

 電気自動車であれ、クラウドコンピューティングであれ、先進テクノロジーの普及が頂点に達すると、それまで様子見を決め込んでいた企業が急激に参入してくる。その結果、新たな投資の波が生まれ、年率20%以上の成長が始まり、普通それが5年から7年間続く。

 こうした投資動向の変化は、千載一遇の事象だ。つまり、波が高い時に捕まえるか、それができなかったならば次の波を待つしかないということだ。

 この千載一遇の成長の時期には、投資家は最初に動いた者(ファーストムーバー)の株式を極めて高く評価する。株価が収益の10倍以上に評価されることもある。投資家たちには、最初の波を捕まえた企業の業績が、それ以外の企業の業績をはるかに上回ることが見えているのだ。

 対照的に、アップルの企業価値は2378%、アマゾンは1197%増加した。これらの企業の業績が、企業価値の劇的増加に結び付いたわけではない。投資家たちは、アップルが3つの新カテゴリーの波(デジタルミュージック、スマートフォン、タブレット)を捕まえ、アマゾンが1つの巨大な波(クラウドコンピューティング)を捕まえたことを高く評価したのだ。

波を捕まえ損ねた企業

 企業の成長に投資するグロース投資家の視点から言えば、大きなリターンを得るためには次の波を捕まえることのみが重要ということだ。

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