2019年10月号掲載

「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実

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著者紹介

概要

近年、日本では非婚化・晩婚化が進む。経済学者の著者によれば、その背景には、女性の社会進出とともに、結婚のメリットの減少があるとのこと。本書では、結婚、出産、子育てと続く「家族」の問題が、経済学の視点から考察される。様々な科学的研究、データ分析が示す真実は、家族が幸せになるための良きヒントとなるだろう。

要約

結婚の経済学

 結婚、出産、子育て ―― 。これらにまつわる事柄について、経済学をはじめとした様々な科学的研究の成果をもとに、家族がより「幸せ」になるためのヒントを紹介しよう。

 家族の始まりは、「結婚」にあると言える。そこでまず、結婚について見ていくことにしよう。

男性の5人に1人、女性の10人に1人が未婚

 結婚しない人が増えてきている。男性の50歳時未婚率(生涯未婚率)は、1990年頃から急速に上がり始め、2010年には20%余りに達した。女性の50歳時未婚率も、2010年には10%ほどに達している。現代では、男性の5人に1人、女性の10人に1人は50歳時点で未婚である。

 また、「晩婚化」も進んだ。1950年には、女性の平均初婚年齢が23.0歳、男性は25.9歳だった。だが2009年には、女性28.6歳、男性30.4歳へと、男女とも4歳以上、晩婚化が進んだ。

6割の女性が夫に家事・育児能力を求めている

 なぜ非婚化・晩婚化が進んできたのか。

 この問いに答えるには、人々は結婚に何を求めているのかを考えてみることが助けになる。

 もちろん、ほとんどの人は、結婚することの最大の理由を愛情だと考えているだろう。だが、愛情だけでは結婚できないと考える人も少なくない。結婚相手には「家事・育児の能力」を重視すると答えた男性は5割近く、相手の「経済力」を重視すると答えた女性は4割近くに上る。

結婚のメリット

 では、結婚にはどんなメリットがあるのか。

 まず考えられる経済的なメリットは、「費用の節約」だ。2人で別々に住むよりも、同じ家に住めば、より安い家賃で、広く快適な部屋に住むことが可能になる。

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