2020年3月号掲載
実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス
- 著者
- 出版社
- 発行日2017年8月24日
- 定価946円
- ページ数230ページ
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著者紹介
概要
「どうすればもっと幸せになれるのか」を探究する学問を、ポジティブ心理学という。近年よく耳にするマインドフルネス、レジリエンスも、その1つの概念だ。“実践”と銘打った本書では、工学者である著者が、幸せの条件を科学的に分析するとともに、ポジティブ心理学をどう暮らしに取り入れればよいか、実践方法を紹介する。
要約
ポジティブ心理学を知ろう
ポジティブ心理学は、「どうすればもっと幸せになれるのか?」を追究する学問である。
その対象は、心が病気になってしまった人たちではなく、病気になっていない段階の人たちだ。つまり、普通の人が「今の人生よりももっと充実した幸福な人生を送れるようにするため」という意味を込めて、ポジティブという名称が使われる。
ちなみに、ポジティブ・シンキングとポジティブ心理学は全く別のものだ。前者は、とにかく前向きになろうというもの。一方、後者は、ポジティブもネガティブも両方認めようというものだ。
ここでは、ポジティブ心理学とはどういうものなのかを詳しく見ていこう。
「ウェルビーイング」と「レジリエンス」
前述のように、ポジティブ心理学では、「幸せの研究」を行う。
幸せに近い英単語に「well-being(ウェルビーイング)」がある。直訳すると健康・幸福である。
ポジティブ心理学でいうウェルビーイングとは、「心身ともに充実した、よりよい状態」を指す。だから、ウェルビーイングこそがポジティブ心理学の最も目指すべき姿といえるだろう。
ポジティブ心理学を知る上でもう1つの柱となるキーワードが、「レジリエンス」である。近年、注目されている考え方で、一言でいうと「回復力」。あらゆる状況に対しての反応の仕方を制御し、逆境から立ち上がる能力と定義される。
レジリエンスを高めるには、思考の柔軟性が必要である。厳しい状況でも、ネガティブな面だけではなく、ポジティブな面を見いだすことのできる人こそが、逆境を乗り越えられる。
また、起こったことに対して一喜一憂し過ぎないで感情をコントロールする力や、自分の力を過小評価しない自尊感情、楽観性なども大きく関係する。レジリエンスを身につけることで、心の病に対しての予防ができるといわれている。
その瞬間に浸りきる「フロー」という状態
幸せは、短期的な幸せと、長期的な幸せに分けることができる。「幸せな人生だな」としみじみ思うことは、長期的な幸せだ。「今、楽しく幸せな気分」というのは、短期的な幸せである。