2020年4月号掲載
フラット化する世界〔普及版〕(上・中・下) 経済の大転換と人間の未来
Original Title :The World Is Flat:A Brief History of the Twenty-first Century Further Updated and Expanded Edition
- 著者
- 出版社
- 発行日2010年7月20日
- 定価1,320円
- ページ数(上)320ページ、(中)276ページ、(下)284ページ
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著者紹介
概要
1989年、東西を分かつベルリンの壁が崩壊し、人や情報の往来が自由になる。そして、SNSやブログなど通信手段の発達は、遠くへ、速く、深く、手を広げる力を個人に与え、世界は“平ら”になった ―― 。今、猛スピードで進む新しい段階のグローバル化と人間の未来を、ピュリツァー賞を3度受賞したジャーナリストが見通す。
要約
グローバリゼーションの歴史
グローバリゼーションは、大きく3つの時代に分けることができる。
コロンブスが航海に乗り出し、旧世界と新世界の貿易が始まった1492年から1800年頃までが最初の時代、「グローバリゼーション1.0」だ。
それは、国家と腕力の時代だった。つまり、世界統一を推進する原動力は、物理的な力 ―― 腕力、馬力、風力、蒸気動力 ―― だった。この時代の国家や政府は、壁を打ち壊して、世界をつなぎ合わせ、世界統一をはかろうとした。
次の「グローバリゼーション2.0」は、1800年から2000年まで。その原動力は、多国籍企業だ。多国籍企業は、市場と労働力を求めてグローバル化した。この時代に世界経済が誕生し、成熟した。
そして、2000年前後に全く新たな時代に突入した。これが「グローバリゼーション3.0」だ。グローバリゼーション1.0の原動力が国のグローバル化であり、2.0の原動力が企業のグローバル化であったのに対し、3.0の原動力は、個人がグローバルに力を合わせ、グローバルに競争をくりひろげるというものだ。
個人のグローバル化を可能にしたのは、「フラットな世界のプラットホーム」という現象だ。
これは、パソコン(誰でも自分のコンテンツをデジタル形式で生み出すのを可能にした)、光ファイバー(個人がただ同然で世界中のデジタル・コンテンツにアクセスするのを可能にした)、ワークフロー・ソフトウェアの発達(個人が世界のどこからでも同じデジタル・コンテンツの共同作業ができるようにした)などが集束して生まれた。
世界中の人々が、ある日突然、個人としてグローバル化する絶大な力を持っていると気づいた。その結果、誰もがこう自問できるようになったし、また、自問しなければならなくなった。
「私は個人として現在のグローバルな競争やビジネスチャンスのどこに割り込めばよいのか?」
「1人で他の人々とグローバルな共同作業をするには、どうすればよいのか?」