2021年8月号掲載
売上最小化、利益最大化の法則 利益率29%経営の秘密
著者紹介
概要
多くの経営者は、売上の最大化を目指そうとする。だが、売上が大きくなっても、利益が上がるとは限らない。従って、真に追求すべきは売上ではない、利益だ ―― 。驚異的な利益率を誇るEC企業の経営者が、「売上最小化、利益最大化」を軸とする経営の秘密を公開。その独自の利益管理手法は、他社も取り入れることが可能だ。
要約
「無収入寿命」という考え方
年商100億円で、利益1000万円のA社。
年商1億円で、利益1000万円のB社。
あなたは、どちらの会社を経営したいだろう?
A社の売上はB社の100倍。だから、売上重視の人はA社を好むかもしれない。だが、最終利益が同じなら、効率よく利益を上げたB社の方がいい。経営していれば常にトラブルが起こるが、トラブルは売上に比例して多くなる。利益が同じなら、売上が大きい方がリスクは高い…。
私が経営するEC企業「北の達人コーポレーション」は、売上高約100億円、営業利益約29億円。業界内では、利益率29%はかなり高い。
当社が高収益を上げる秘密を公開しよう。
売上ゼロでも現状維持できる「無収入寿命」
経営者の最大の使命は会社をつぶさないこと。
コロナショックのように、突然商品が売れなくなるリスクは常にある。そうした事態に備えるには、「無収入寿命」を長くすることだ。
無収入寿命とは、「売上ゼロになっても経営の現状維持ができる期間」を指す私の造語だ。現状維持とは、減給などのコスト削減なしで全従業員の雇用を維持し、家賃の支払いができること。
景気が悪くなった時、社員から「うちの会社、大丈夫ですか」と聞かれることがある。その時私は、「1円の入金がなくても、24カ月は全社員の給料を払えます。その間に新規事業を軌道に乗せましょう」と即答する。そのために無収入寿命を正確に把握し、少しずつそれをのばしていく。
無収入寿命をのばす4つの考え方
無収入寿命をのばす方法は、次の4つである。