2021年12月号掲載
台湾VS中国 謀略の100年史 なぜ中国共産党は台湾を支配したがるのか?
著者紹介
概要
近年、激しさを増す中国と台湾との対立。この問題を理解するには、過去100年余の歴史を繙く必要がある。中華民国建国、共産党誕生、満州事変…。当時の指導者に焦点を当てつつ、中華圏の近現代史を通観した。中国いわく、尖閣諸島は台湾の一部。つまり中台の問題は日本の問題でもあり、その理解は私たちにとっても大切だ。
要約
中国国民党の誕生 1894年~1926年
孫文、蔣介石、毛沢東、鄧小平、蔣経国、李登輝、江沢民、陳水扁、胡錦濤、馬英九、習近平、蔡英文。
この12人は、過去100年余りの中国・台湾で最高指導者として君臨した(している)政治家だ。
彼らに共通しているのは、「カオスの底なし沼」のような中華圏の近現代史の中で、権謀術数を駆使し、自らの大道を切り拓いてきた点である。
彼らは、トップとして何を志し、何を企み、何を成し遂げ、何に涙していったのか ―― 。
始まりとしての日清戦争
日本は、1868年の明治維新によって近代国家に生まれ変わり、富国強兵・殖産興業のスローガンのもと、発展を遂げていった。
一方の中国(清国)は、旧態依然とした皇帝政治から脱しきれず、1840年に起こった「アヘン戦争」をきっかけに転落の道を歩む。習近平主席が説く「屈辱の100年」の始まりである。
そんな日本と中国が、1894年7月に朝鮮半島海域で衝突したのが、日清戦争の始まりだ。日本軍は破竹の勢いで中国大陸へと兵を進め、戦争は翌1895年4月17日に下関条約を結んで終結する。
下関条約の第2条には、こう記されている。
〈清国は左記の土地の主権ならびに該地方にある城塞兵器製造所及び官有物を永遠日本に割譲す。1.奉天省南部の地 2.台湾全島及びその付属諸島嶼 3.澎湖列島〉
この条約により、台湾は日本の植民地となる。
第4条には「清国は軍費賠償金として庫平銀(標準銀)2億両を日本国に支払うべきこと」と定めてある。この借金苦に喘いだ末、清国は1912年に滅亡した。