2022年1月号掲載
Product-Led Growth プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ
Original Title :PRODUCT-LED GROWTH
著者紹介
概要
「プロダクト・レッド・グロース(PLG)」 ―― いち早く製品を届け、顧客にその価値を感じてもらうことで購入につなげる、製品主導型の成長戦略である。事前に製品を試すことが強く求められる今、ソフトウェア業界を中心に採用する企業が増えている。この戦略の取り入れ方やメリットなどを体系的にまとめた、実践的な1冊。
要約
PLGの重要性が増している!
「何を売るか」と同じくらい、「どう売るか」が重要なことは歴史が証明している。それは、ビデオレンタルチェーンのブロックバスターがネットフリックスに敵わなかったことからもわかる。
今後、SaaS(Software as a Service:クラウドで提供されるソフトウェア。インターネットを介し、必要な機能を選択して利用できる)市場が進化するにつれ、企業は次の2つに分かれるだろう。
・セールス主導型カンパニー
これは従来の売り方。売る商品は複雑で、高価である。購入してもらえるかどうかは、消費者をいかに説得できるかにかかっている。
・プロダクト主導型カンパニー
これは旧来の営業モデルを逆にしたもの。プロダクトを試せるようにすることで、購入を促す。
今の時代、ブランド力だけでは消費者からの信頼を勝ち取ることはできない。購入してもらう前に、プロダクトを試せる権限を与える必要がある。
「PLG」(Product-Led Growth:プロダクト・レッド・グロース)は、まさにそれを実践可能なビジネス戦略に落とし込んだ手法だ。
売り方を革新し、プロダクト主導モデルに転換するか、それとも何もせず新しいトレンドに押しつぶされるか。今、企業は決断を迫られている。
サブスクリプションビジネスに迫る3つの変化
現在、SaaSビジネスに3つの変化が起きている。
①顧客獲得に多くのコストがかかるようになった
今日では、SaaSビジネスを立ち上げるのに、かつてないほどお金がかからなくなった。ところが、市場への参入障壁が低くなったことで、競合他社との争いが激化している。その結果、顧客獲得に以前より多くのコストが必要になった。
②顧客は自ら学ぶことを好むようになった
ある調査会社によると、B2Bの購買担当者の4分の3が、営業担当者からプロダクトの説明を受けるより、自ら情報収集したいと回答したという。
③プロダクトの利用体験が重視されるようになった
ネットフリックスのサービスを利用したことがある人なら、覚えているだろう。使い始める前、営業担当者に問い合わせをする必要はなかったはずだ。オンボーディングもプランのアップグレードも、すべてプロダクト上で行われる。購入のプロセスにおいて、人が介入する必要はない。