2023年1月号掲載
リデザイン・ワーク 新しい働き方
Original Title :Redesigning Work:How to Transform Your Organization and Make Hybrid Work for Everyone (2022年刊)
著者紹介
概要
今、私たちは岐路に立っている。「昔の働き方」に戻るのか、それとも、仕事のあり方を根本的に「リデザイン(再設計)」するのか ―― 。コロナ禍を機に、働き方が大きく変わる中、自社を“未来に通用する企業”へ進化させる方法を説いた書だ。ベストセラー『LIFE SHIFT』の著者が、その具体的なプロセスを解説する。
要約
リデザイン「4段階のプロセス」
今、グローバルな規模で、私たちの働き方が大きく変わりつつある。自動化の進展にともない、様々な産業の様相と雇用のあり方が変わりはじめている。長寿化により、70代まで働くことが当たり前になる可能性も出てきた。
ところが、多くの企業は、新しい状況に対応できていなかった。そこへ訪れたのが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックだ。コロナ禍は、いくつもの根本的な前提を問い直し、仕事のやり方を見直す機会をもたらした。
未来に向けた青写真をどのように描くかは、それぞれの会社によって異なる。そうした自社の独自性を確立するためには、次の「4段階のプロセス」が有効だ。
①自社の重要な要素について理解する
働き方を再設計する際は、自社で成果に寄与している要素が何か、社内の人的ネットワークがどんな知識の流れを生み出しているか、社員が何を望み、どんな要素によって会社へのエンゲージメントを高めるのかを把握することが重要になる。
具体的には、自社の状況に関して4つのテーマを検討する必要がある。
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- ・生産性を支える行動と能力
- ・知識の流れと人的ネットワークの仕組み
- ・社員が仕事と会社に期待すること
- ・現場で何が起きているのか
生産性を支える行動と能力
例えば、1番目の「生産性を支える行動と能力」について。
新しい働き方への転換が有効かどうかを判断するための重要な基準の1つは、生産性が高まるかどうかだ。この点で有効な働き方を設計するためには、自社の生産性を支える社員の行動や能力を引き出すうえで最善の方法を知る必要がある。
だが、これは簡単ではない。なぜなら、社内には様々な職種があるからだ。では、どうやって仕事のあり方を設計し直せばいいのか?
社内の様々な職種について知るための1つの方法は、ある程度大ざっぱなカテゴリーごとに考えることだ。そうした職種のカテゴリーは「職群(ジョブファミリー)」と呼ばれる。同じ職群には、コールセンター関連の職、顧客と接する職、マネジメントの職といった具合に、何らかの共通点をもつ職種が分類される。
まず、自社にどんな職群があるかを把握する。その中から3つの職群を選び、それらの相違点と共通点を考えてみる。そして、それぞれの職群から1つの職種を選び、さらに掘り下げて検討する。