2023年9月号掲載
史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール
Original Title :WARREN BUFFETT and THE INTERPRETATION OF FINANCIAL STATESMENTS (2008年刊)
著者紹介
概要
ウォーレン・バフェット ―― 。史上最強の投資家は、何に基づいて企業に投資するのか? その戦略を、バフェット研究の第一人者たちが解説した。カギは“一貫性”。粗利益率や負債、収益などに、長期的な一貫性があるか否か。財務諸表から読み取れるこうした要素が、永続的な競争優位性を持つ企業を見極めるポイントだという。
要約
バフェット流利殖術の要諦
1960年代半ば頃からウォーレン・バフェットは、彼の師であるベンジャミン・グレアムの投資戦略に疑問を感じはじめた。そしてその戦略を見直していく過程で2つの重要な発見をし、彼は新たな投資戦略をつくり上げた。
ウォーレン・バフェットの2つの大発見
その2つの発見とは、次の通り。
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①永続的な競争優位性を持つ優良企業を、どのように見分ければいいのか?
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②永続的な競争優位性を持つ優良企業を、どのように評価すればいいのか?
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「永続的競争優位性」を持つ企業に投資する
ウォーレンは、“スーパースター企業”の経済性をより深く理解すれば、投資のパフォーマンスを向上させられるはずだ、と気づいた。早速、彼は「長期的優良投資の条件とは何か」という観点から、企業の財務諸表の研究にとりかかった。
その結果によると、すべてのスーパースター企業は、ある種の競争優位性による独占状態から恩恵を受けており、自社製品を他社よりも多く、高く売ることが可能となっていた。だからこそ、大きな儲けを稼ぎ出せるわけだ。
もう1つ彼が気づいたのは、もし企業の競争優位性を長期間維持できるなら、ビジネスの根源的価値は年を追うごとに増加し続ける、という点だ。
永続性は金持ちへのチケットである
「あらゆる富を生み出す永続的競争優位性のうち、重要なのは“永続的”の部分である」とウォーレンは言う。例えば、コカ・コーラ社はずっと同じ製品を販売し続けている。この製品の「一貫性」が、収益の「一貫性」を生む。製品を定期的に修正する必要がなく、研究開発や設備に巨額の資金を必要としないからだ。
だから、会社の財務諸表を見る時、彼は「一貫性」を読みとろうとする。一貫して高い粗利益率を保持しているか? 一貫して負債を低水準に保っているか? 一貫して収益を上げ続け、その収益の成長を保っているか?
「財務諸表に示されているこの『一貫性』こそが、その企業の競争優位性が“永続的”であるかどうかを教えてくれるのだ」と彼は言う。
損益計算書の読み方
永続的競争優位性を持つ企業を探す時、ウォーレンが第一に手がかりとするのは“損益計算書”だ。損益計算書は投資家に、特定期間内における企業活動の結果を教えてくれる。
永続的競争優位性を持つ企業は粗利益率が高い
損益計算書の売上高から売上原価を差し引くと、その企業の「粗利益」がはじき出される。好業績を続けている企業は、そうでない企業と比べ、“一貫して”高い粗利益率を保っている。