2024年6月号掲載

世界を変えた8つの企業

Original Title :FOR PROFIT (2022年刊)

世界を変えた8つの企業 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

「企業」という存在は、常に世界の行方を左右してきた。古代ではローマを戦争の勝利に導き、20世紀にはフォードが米国民に夢を与えた。そして今、フェイスブックが民主主義の形を変えつつある。彼らの姿から見えてくるのは、単なる利益追求に終わらない企業のあり方だ。歴史を振り返り、改めてその“存在意義”を検証する。

要約

企業が動かしてきた世界

 企業の歴史に一貫して見られる特徴が1つあるとしたら、それは世界の動向に常に多大な影響を及ぼしてきたということだ。

ローマを救った3つの企業

 前215年、地中海世界の大国であるローマとカルタゴの間で熾烈な戦いがあった。戦線はスペインからギリシャまで延びた。この頃、カルタゴの名将ハンニバルは大軍を率いてローマに攻め込み、ローマ軍は桁外れに大きな損害を被った。

 実はこの絶体絶命の状況に追い込まれたローマ軍が、その後、カルタゴ軍を破ることになる。この出来事であまり知られていないのは、ローマが戦争を続けることを可能にした資本家の役割だ。

 ハンニバルが暴れているさなか、スペインのローマ軍からローマ元老院に悪い知らせが届く。

 「軍の物資が不足しているのですぐに送ってほしい。さもなければスペイン全土を失うことになる」

 この時、ローマの国庫も底をつきかけていた。そこで元老院は窮余の策として市民に懇願した。国庫が回復したら償還するので、私費でスペインにいる軍隊に食料や装備を送ってほしい、と。

 この要請に対して、3つの企業、計19人から協力の申し出があった。彼らが見返りに求めたのは、兵役の免除と、船に積んだ物資が敵の攻撃で失われた場合の弁済だけだった。

 スペインのローマ軍は物資の供給を受けられたおかげで、カルタゴ軍との数度の会戦を制することができた。この連勝の結果、スペインのほぼ全勢力がカルタゴを見限ってローマの側につき、最終的にローマ軍はカルタゴ軍を破ることになった。

フォードが可能にした“夢”

 1914年1月5日、ヘンリー・フォードは電撃的な発表を行った。今後、フォード・モーター・カンパニーは全従業員に1日5ドルの賃金を払うという。これはそれまでと比べ2倍以上の額だった。

 フォードがこのような決定を下した動機の1つは、自動車の組み立てラインのスピードが向上し、多くの作業員が必要だったからだ。市場ではT型フォードが圧倒的な人気で、作れば作るだけ売れそうだとフォードは踏んだ。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

アマゾン化する未来 ベゾノミクスが世界を埋め尽くす

ブライアン・デュメイン ダイヤモンド社

まちづくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか

木下 斉 SBクリエイティブ(SB新書)

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

スコット・ギャロウェイ 東洋経済新報社