2024年7月号掲載
葉隠 処世の道
- 著者
- 出版社
- 発行日2019年11月10日
- 定価1,760円
- ページ数299ページ
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概要
「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」。この一節がよく知られた、近世を代表する武士道の名著である。全11巻から成る『葉隠』の中から、本書では90ほどの教えを選り抜き、現代語訳とともに紹介する。「大器は晩成す」「水を飲ませるように意見せよ」といった、『葉隠』が説く武士の道は、現代人の生き方の指南ともなる。
要約
『葉隠』の教え
『葉隠』は近世を代表する武士道書である。その教えとは、例えば ――
日々、生に真摯に向き合う
武士道の本質は死ぬことであると悟った。死ぬか生きるか、2つに1つという場合に、いち早く死を取るだけのことである。
2つに1つという場合、必ず目的を果たせるように判断することは、なかなかできるものではない。人は誰でも生きる方が好きなものだ。
往々にして人は好きな方に理屈をつけるものである。それでもし目的を果たさず、生きながらえたならば、それは腰抜けだ。
目的を果たせず死ねば犬死である。だが、少しも恥ではない。これが武士道における一人前である。毎朝毎夕、繰り返し命を捨てる修行を積み、常に死に身になっている時に、はじめて武士道において自由を得て、一生失敗なく家職を果たすことができるのだ。
今を生きる
「人として肝要に心がけ、修行すべきことは何であろうか」と問われた時、何と答えるべきか。
まず言ってみる。ただ、今を心に思うように、と心がけるのだ。誰も彼も心が抜けている者ばかりに見える。生きた顔は一心に思う時の表情だ。
色々なことをしていくうちに、自然と胸に1つのものが生まれてくる。これが、ご主君に対しては忠、親に対しては孝、武士としては勇、その他の何事にも共通するものだ。だが、これを見つけて、常に保ち続けるのは難しい。ただ、今、この瞬間を思い生きていくより他にないのだ。
出世をあせるな
若いうちから出世して、主君のご用をつとめても、長続きしないものだ。生まれつき才能に恵まれていても、人柄や能力がまだまだ未熟なので、人も信じてくれない。50歳くらいになってから、そろそろ出世していくというくらいがよい。
それまでの間は、人々から「出世が遅い」と思われるくらいの方が、うまくいくものだ。
大器は晩成す
「大器は晩成す」と言われる。20年、30年かけて成し遂げるようなことでなければ、大きな功績は立てられない。