2024年8月号掲載

男はなぜ孤独死するのか 男たちの成功の代償

Original Title :LONELY AT THE TOP:The High Cost of Men's Success (2011年刊)

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著者紹介

概要

自殺は、女性よりも男性に、中でも高齢男性に多い。その大きな要因の1つが“孤独”。男性は孤独に陥りやすいのだ。お金や社会的地位のために必死に働いてきたが、気づけば周りには誰もいない ―― 。そんな悲劇をどうすれば避けられるのか? 自殺問題に詳しい心理学者が、臨床データをもとに気をつけるべきことを解説する。

要約

孤独な性

 2010年、ハーバード大学医学部が発行するニュースレターに、「男性 ―― (医学的に)弱い性」と題する記事が掲載された。

 冠動脈疾患、脳卒中、インフルエンザ、肺炎、糖尿病などの病気は、男性の方が女性よりも死亡率が高く、死亡時期も男性の方が早いことによる。また、肺がんや大腸がんなど、がんの発生率は女性よりも男性の方が約50%高い。

 さらに、女性より男性の方が圧倒的に多い死因がある。それは自殺だ。2005年には3万2637人のアメリカ人が自殺で亡くなったが、その約80%が男性だった。

男性が抱える問題点

 男性、特に高齢男性の自殺は、他のグループよりも高い割合で起こっている。その最も大きな要因の1つは、孤独感だ。男性は年齢とともに友人や家族との接点が徐々に失われていき、それを補充することができないのだ。

 女性はこのような喪失感をあまり経験しない。なぜなら女性は、男性と違って、他人から極端に自立しようとする態度を取らないからだ。男性のこうした態度は、孤独感を加速させる原因となる。

 2008年の調査では、女性よりも男性の方が、医療従事者を含む他人を信頼したり、助けを求めたりすることが苦手であることが明らかになった。

 人間は年齢が上がるにつれ、恥の意識を強く感じるようになる。そのため若年層に比べ、精神療法などの治療を中断する可能性が高い。これは特に男性に顕著で、その差は早くから生じている。

 また、男性は自分の健康に気を配る代わりに、短期的には解決策のように感じても、長期的には孤独の問題を悪化させるだけの対症療法的な答えに頼りがちだ。例えば、不倫、離婚、アルコール、銃、ゴルフなどがそうだ。

不況の犠牲となる男性

 経済的苦境に陥らないための防波堤となるのは、他者とのつながりだ。人とのつながりは、僕たちを支え、家族や友人からのアドバイスや物質的なサポート、仕事の機会を与えてくれる。

 過去の経済不況では、高齢者よりも若年層の労働者の方が大きな打撃を受けた。これは、高齢者の熟達した技術と総合的な経験が彼らを守ってきたからだと考えられる。しかし最近の不況は、これまでとは違う。55歳以上の失業率がこれほど高い水準に達したのは、大恐慌以来だ。

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