2024年9月号掲載

ポスト・ヒューマニズム テクノロジー時代の哲学入門

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著者紹介

概要

「人間」。それは、14世紀のルネサンス以来、“万物の尺度”とされてきた。だが今日、「人間主義(ヒューマニズム)」が揺らぎ始めている。ゲノム編集技術や人工知能の発展により、「ポスト・ヒューマン(人間以後)」への道が開かれつつあるのだ。この「人間の消滅」と哲学や思想、さらには資本主義とのかかわりなどについて、わかりやすく述べる。

要約

ポスト・ヒューマニズムとは何か

 21世紀になって、若い哲学者たちが思弁的実在論、加速主義、新実在論といった新たな思想を提唱し、社会でも認知されるようになった。

 これらの思想は、「ヒューマニズムVS.ポスト・ヒューマニズム」をめぐって展開されてきた。

 ヒューマニズムといえば、ルネサンスが始まった14世紀以来の長い歴史を持つ言葉である。「人文主義」「人道主義」「人間主義」などと訳され、西洋近代社会を形づくる基盤とされてきた。

 しかし、近年のテクノロジーの進化によって、「人間」という概念そのものに疑問が付されている。「人間以外のもの(non-human)」「非人間(inhuman)」「人間以後(posthuman)」といった言葉を、様々なところで見かけるようになった。

 これらの言葉を貫いている思想的態度を、ポスト・ヒューマニズムと呼ぶ。

 結論先取的にいえば、21世紀になって情報テクノロジーやバイオテクノロジーによって、人間を中心にした西洋近代社会が大きく揺らぎ、それに対してどんな態度をとるかという問題を、現代のいかなる哲学者も避けて通れなくなったのだ。

人間の在り方が変わる

 近年のテクノロジーの革命的な発達によって、人間の在り方は大きく変わろうとしている。

 事態はかなり深刻である。情報テクノロジーは「人間主義」さえも終わらせるかもしれないのだ。例えば、次のような予測がある。

 こうした状況は、バイオテクノロジーの発展を考えると、いっそう理解しやすくなる。

 2018年、中国が人間の受精卵にゲノム編集を施して、双子を誕生させることに成功したと報じられた。このニュースに対する世界の反応に批判的なものが多かったのは、ゲノム編集の技術が、ヒトゲノムの変更を可能にするものだからである。

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