2024年10月号掲載

アメリカはいかにして日本を追い詰めたか

Original Title :Japan's Decision for War in 1941:Some Enduring Lessons

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著者紹介

概要

1941年の真珠湾攻撃。日本に、この勝算なき戦いを決断させたのは、ルーズベルト大統領の外交だった! 米国陸軍戦略研究所によれば、石油の全面禁輸などの経済制裁で“隷属か戦争か”と究極の選択を迫った結果、戦争に至った。本書は、当時の米国外交を分析し、教訓を引き出す。“勝者”側から開戦の真相に迫る、新視点の書だ。

要約

真珠湾攻撃とは何だったのか

 日本の真珠湾攻撃は、われわれ軍事専門家の頭を悩ませてきた。

 1941年半ばの日本は、中国大陸の戦いで泥沼に陥り、ソビエトと戦いを始めることも考えていた。そんな状態にある国が、さらに新たな戦いを始めることを考えた。それも、自国の10倍もの工業力のある国と戦おうというのだ。

 日本はこの戦いがいかに勝ち目のない戦いであるかを理解していなかったのだろうか ―― 。

非合理的決断の解釈

 1941年、米国務次官補のディーン・アチソンは、真珠湾攻撃以前に次のように語っていた。

 「わが国を攻撃すれば、日本にとって破滅的な結果になることは、少し頭を使えばどんな日本人にでもわかることだ」

 大戦後になされた評価も同様である。社会学者のレイモン・アロンは、「日本の1941年の賭けはあまりに馬鹿げていた」と述べている。

 しかし、日本の決断は本当に愚かなものであったのだろうか。

 古代ギリシャの歴史家トゥキディデスは、古代アテネがその国家防衛の動機(モチベーション)としたのは、「恐怖」「誇り」「国益」の3つだとした。だが今日、国際政治を語る場合、国を動かす動機としては「軍事力」と「国益」の2つに絞られている。イデオロギーや誇りといった要因を軽視する傾向がある。

 私は本稿で次のような結論に至った。

 「1941年に日本がアメリカとの戦いを決意した動機は、1つには日本の誇りの問題であり、もう1つは、アメリカによってもたらされた経済の破綻であった」

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