2025年1月号掲載

ブラジルが世界を動かす 南米の経済大国はいま

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著者紹介

概要

世界第5位の国土面積に、第7位の人口。農産物に恵まれ、技術力も高い南米の大国ブラジル。近年、国際社会で存在感を高めているが、遠国ゆえに日本人が知らない側面も多い。政治体制は? 人種や宗教は? どんな外交姿勢をとっている? 現地をよく知る日本経済新聞社の元サンパウロ支局長が、この国の最新情報を伝える。

要約

多様性の国

 ブラジルは大きな国だ。国土面積は日本の22倍以上あり、世界で5番目。人口は2億1600万人と世界で7番目。国内総生産(GDP)は世界9位で、将来はさらに上位に食い込むとみられる。

 2024年には20カ国・地域(G20)の議長国を務め、25年には有力新興国の集まりであるBRICSの議長国となる。インドなどと並ぶ「グローバルサウス」の有力国として新興・途上国をけん引し、国際社会で指導力を発揮しようとしている。

 そんな経済大国ブラジルがどんな国かを知ることは、世界の行方を考える上でも重要だ ―― 。

議会牛耳る「セントロン」=中道連合

 ブラジルは政党が多い。2024年2月時点で上院は12党、下院で20党が議席を所持している。

 左派と右派はともに過半数を握れていないため、上下両院とも中道や中道右派から成る超党派「セントロン」(中道連合)がキャスティングボートを握っている。セントロンは政府の要職や予算配分と引き換えに歴代大統領を支持してきた。

 23年1月、大統領の座は、経済界を重視するボルソナロ(右派)から低所得者に重きを置くルラ(左派)に移った。ブラジル政府は大きく転換したわけだが、セントロンは支持政権を右派から左派にかえて、影響力を引き続き行使している。

 中道政党がバランスをとる役割を果たしているとの見方もできるが、利権につられて動く党派が最もいい思いをしているという解釈も可能だ。

人口の4割以上が混血

 ブラジルの人種構成は多様だ。もともとの宗主国だったポルトガルやイタリアを中心とした欧州系が優勢ではあるが、アジア系も目立つし、北東部では黒人の割合が増える。

世界最大のカトリック国

 ブラジルは世界最大のカトリック教徒の国だ。約1億2000万人の信者を抱える。

 ただ、人口に占める信者の比率は減少傾向にある。1980年には国民の89%を占めていたが、2010年には65%まで下がった。妊娠中絶や同性婚を認めない教義がカトリック離れにつながっている。近年はプロテスタントも増え、カトリックからの改宗者も目立つ。

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