2025年1月号掲載
ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年10月20日
- 定価1,100円
- ページ数285ページ
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著者紹介
概要
人口が減り続けてやまない日本。今後、この国の経済・社会がどこへ向かうのか、各種データを基にアナリストが明らかにした。生産性は堅調だが、経済成長率は低迷。賃金は上昇基調に転じる。人手不足はますます深刻に…。先が見えにくい今だからこそ、知っておきたい“人口減少経済”における「変化」と「未来予測」を提示する。
要約
人口減少経済における「変化」
これから迎える“人口減少時代”において、日本経済の構造はどのように変化していくのか。
本書の目的は、それを予想することにある。実際、統計データを確認すると、近年の日本経済には様々な変化の兆しが見られる。例えば ――
生産性は堅調も、経済成長率は低迷
日本のGDP(国内総生産)は長い間、世界第2位だった。しかし2010年頃に中国に抜かれ、直近ではドイツに逆転されて世界第4位に下がった。
また、2010年以降の実質GDP成長率を先進6カ国(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本)で比較すると、日本は最下位となる。
・日本の労働生産性は低くない
実質GDPは、一国全体の労働投入量である「総労働時間数」に、1時間当たりの「実質労働生産性」を乗じて算出することができる。
この計算式で考えれば、経済規模を拡大させるために必要なことは、労働投入量(総労働時間数)を増やすか、1時間当たりの労働生産性を高めるかという2点に集約することができる。
このような関係性で経済の動向を考えた時、日本の低い経済成長率をどう解釈できるだろうか。
OECD(経済協力開発機構)のデータでは、日本の労働者の1時間当たりの労働生産性は、2010~21年は年率で0.9%の伸びとなっている。ドイツ、米国に次ぐ水準だ。この結果を見ると、日本経済の低迷の元凶が労働生産性ではないことがわかる。
・経済低迷の主因は労働投入量の減少
日本の経済成長率の低さは、労働生産性の低迷が原因ではない。ということは裏を返せば、その主因には総労働時間数の減少があるということだ。
他国と比較すれば、この10年余りで労働力が減少したのは日本だけであり、労働投入量はこの10年ほどで0.3%減と他国と大きく乖離している。