2025年1月号掲載

なぜ部下は不安で不満で無関心なのか メンバーの「育つ力」を育てるマネジメント

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著者紹介

概要

今、多くの職場で「将来への不安」「現状への不満」「仕事への無関心」が広がっている。そんな中、マネジャーは部下といかに接すればよいか、新しいマネジメントの方法論を提案した書。メンバーの“育つ力”を育み、各自の持ち味を活かして働ける職場を生む。そのためのステップを、経験豊かなコンサルタントたちが解説する。

要約

部下の「不安・不満・無関心」の背景

 ここ数年、強く実感するのが、働く人の意識、職場の空気の変化である。

 以前は会社、職場、仕事の「不満」がすぐに聞こえてきた。しかし今は最初、多くの人が「無関心」を装う。そこから深掘りすると「不満」を口にし始め、さらに深掘りするとその奥底に「不安」が見えてくる。多くの人が「不安」に耐えられなくなり、「無関心」を装っているのだ。

仕事のやりがいが見えない人が増えている

 長い間、日本社会は目標が持ちやすい環境だった。終身雇用が前提で、年功序列が消えたわけではなく、何となく次のステップを見通せた。

 しかし、人生100年時代化とコロナショックで、会社と個人の関係は、ジョブ(職務)を明確に定める契約型の人事制度にシフトしてきている。

 この仕組みには、今まで大切にされてきた「職場」という場の概念がない。あくまでジョブとそれを実行する人間という関係だ。多くの職場で、自分のやるべき仕事を明確にして、それを各自がやるという働き方に進みつつある。

 こうした働き方では、お互いの仕事が見えにくく、助け合い、認め合う機会が少ない。結果、仕事のやりがいが見えない人が増えている。

「不安」の中で「将来ありたい姿」は描けない

 昨今、働く人の1人1人が自らのキャリアについて主体的に考え、主体的にキャリア形成に取り組む「キャリア自律」の推進が命題となっている。

 しかし、ここに落とし穴がある。

 だが、AIの登場で49%の仕事がなくなるともいわれる環境下で、将来にワクワクできる人がどれくらいいるだろうか。不安を抱えたまま、将来を“自律的に”デザインしなさいといわれたら?

 自分を守るため、見える範囲の現実的な姿しか描けない。本来、キャリア自律は自分の可能性を広げることが大切なのだが、皮肉なことに、自らの視野を狭める結果に終わってしまっているのだ。

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