2025年5月号掲載

トランプ2.0 米中新冷戦 予測不能への備え方

最新号掲載 トランプ2.0 米中新冷戦 予測不能への備え方 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2025年3月10日
  • 定価
    1,980円
  • ページ数
    295ページ

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

2025年1月、米国大統領に返り咲いたトランプ氏。就任早々、大統領令を乱発して世界を揺さぶっている。第2期政権では何をするのか? 「予測不能」といわれる彼の言動の狙い、新政権の特徴などを、経済安保の専門家が解説。さらに「米中新冷戦」といわれ、半導体などを巡って加熱する、米中関係の今後を見通す。

要約

トランプ2.0に身構える世界

 「内向き」「保護主義」「孤立主義」「予測不能」といわれるドナルド・トランプ氏が大統領に復帰して、就任直後から世界に衝撃が走っている。

トランプ政権を支える「3派連合」

 予測不能といわれる中でも、トランプ政権の「本質」は見えてきている。一言で言えば、大統領を支える閣僚たちは「3派連合」だ。

  1. ①「MAGA(米国第一)派」(内向き・保護主義・孤立主義):J.D.バンス副大統領、スティーブン・ミラー次席補佐官ら。
  2. ②「親ビジネス(小さな政府)派」(減税・規制緩和):スコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官ら。
  3. ③「外交タカ派」(力による平和):共和党主流のマルコ・ルビオ国務長官、マイケル・ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官ら。

 トランプ大統領はあえて閣僚たちを競わせて、状況に応じて彼らを使い分ける。そして最後は自分が決める。今後の政策については「どの派の誰がトランプ大統領に信頼されるか」が注目点だ。

 これまで政策全般を仕切っていたのは、MAGA派の中心人物の1人であるミラー氏だ。

 対中政策は、ルビオ国務長官など、外交タカ派が中心になる。対中強硬派として有名で、中国の軍事力拡大への危機感を強烈に持っている。

 親ビジネス派で、商務長官に就いたのは米投資銀行CEOのラトニック氏だ。製造業の国内回帰を進めるが、その手段に高関税も視野に入れている。

看板政策「関税」を巡る激しい綱引き

 トランプ政権の看板政策「関税」を巡っては、MAGA派と親ビジネス派の綱引きが激しい。

 MAGA派は関税の目的を経済的なデカップリング(分断)としており、輸入と貿易赤字を削減するのが狙いだ。第1期と同様、今回も鉄鋼・アルミへの25%の関税賦課を主導した。同盟国に関税を課すことも辞さない。

トランプvs「オール・ワシントン」の確執

 前回のトランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏らは、今回入閣していない。なぜか。

 一言で言えば、トランプ大統領は、第1期ではこうした取り巻きに「自由にさせてもらえなかった」との思いが強かったのだ。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

渡辺 靖 中央公論新社(中公新書)

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

アメリカは正気を取り戻せるか 精神科医が分析するトランプの時代

アレン・フランセス 創元社

日本はすでに侵略されている

平野秀樹 新潮社(新潮新書)