2025年5月号掲載
ロシア・ウクライナ戦争の行方 世界の運命の分岐点
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年3月1日
- 定価1,210円
- ページ数327ページ
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著者紹介
概要
ロシアのウクライナ全面侵略から早3年。いまだ戦火がやまない。ウクライナは領土を奪還できるのか? プーチンの狙いとは? トランプは戦争を止められるのか? これまでの戦況を振り返り、ロシアの戦略や西側諸国の対応などを論じる。ウクライナ人の著者は言う。「ロシアの暴走の原因を作ったのは自由民主主義諸国だ」と。
要約
ロシア・ウクライナ戦争の戦況
2022年2月24日、ロシアがウクライナの各地に全面侵攻を開始した。防衛戦の準備をしていなかったウクライナはロシア軍の侵入を阻止できず、短期間で広範囲の地域が占領された。
しかし、数日後にはウクライナ軍の組織的な抵抗が始まった。一方、ロシア軍は組織的な抵抗を想定せず、正規軍同士の戦いに必要な兵站を整えなかった。その結果、電撃戦は失敗した。
武器提供の遅れで攻勢機会を逸したウクライナ軍
2022年7月後半~9月上旬、戦線が膠着状態になると、ロシア軍は次第に人員不足に陥った。
そこで、ウクライナ軍は領土の奪還を試みた。東部方面のハルキウ州でウクライナ軍が攻勢を始めると、数が少ないロシア軍は総崩れになった。だが、ロシア軍を攻め切ることはできなかった。
一番の理由は、自由民主主義諸国(西側諸国)による武器提供の遅れだ。2022年の時点では、戦車や戦闘機などは提供されなかった。その結果、ロシア軍を壊滅させる絶好の機会を逃してしまう。
西側諸国の武器提供の判断が遅れたことは、この戦争を長期化させた大きな原因の1つだ。
ウクライナ軍の反転攻勢への期待
2023年、ウクライナは新たに20旅団を編成するなど、反転攻勢の準備を進めた。また、西側諸国からの武器提供も行われた。
しかし、武器提供の規模はやはり小さかった。例えば、ウクライナ軍幹部は、攻勢作戦を成功させるには約500両の戦車が必要だと言っていたが、届いた戦車の数は100両以下だった。他の武器や弾薬の提供においても似たような状況だった。だから、全体的に装備が足りないまま、反転攻勢の準備をせざるを得なかった。
一方で、西側諸国は、この反転攻勢に大きな期待を持った。2022年にロシアは何度も失敗したので、ロシア軍は弱い、自分たちが提供した武器の量だけで戦果を上げられる、と勘違いしたのだ。
しかしロシア軍は2022年の失敗から、全力を挙げないと勝てないと理解し、総力戦体制に入っていた。だから2023年には、ウクライナは全力で戦うロシア軍の相手をしなければならなかった。
アメリカからの支援の停止
2023年秋頃には、支援停滞の問題も起きた。