2025年5月号掲載

誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

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著者紹介

概要

政治の世界に、無責任な発言は付き物だ。「そんなつもりはなかった」「誤解を招いたとしたら申し訳ない」…。政治家の発するこうした“言い訳”は、どこに問題があるのか? 気鋭の言語哲学者が、実際に世間を騒がせた様々な発言を題材に解説する。言葉と、それに伴う責任のあり方について考える上で、示唆に富む1冊である。

要約

「そんなつもりはなかった」

 言質を取られる、というのは、政治家が最も嫌うことの1つだ。政治家は時に巧みに、時に白々しく、発言に伴う責任を逃れようと試みる。

責任逃れの「そんなつもりはなかった」

 例えば、「そんなつもりはなかった」。

 責任ある立場の人が自身の発言の問題点を指摘され、こう言い訳するのを私たちは度々耳にする。

 2022年6月、神道政治連盟国会議員懇談会での講演資料に、次のような内容が記載されていた。

 「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」

 性的少数者のライフスタイル(講演の内容を踏まえれば、ここには同性愛そのものが含まれる)を否定することは今の日本社会において差別だ。

 このことが報道されると、その差別的な内容に対し、多くの批判・抗議がなされた。それを受け、神道政治連盟の担当者は次のようにコメントした。

 「(講演者は)…『私には差別の意図はございません』とハッキリおっしゃっています」

 その一方で、こうした言い訳が通用すると思わせてしまう何かが、その言い訳にはある。その「何か」の1つが、「本当のことは本人にしかわからない」論法というものだ。

「本当のことは本人にしかわからない」論法

 「本当のことは本人にしかわからない」論法とは、次のような論法だ。

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