
国境に国家非常事態を宣言、「DEI」(多様性・公平性・包摂性)を推進する政府内の取り組みを廃止、世界保健機関(WHO)や「パリ協定」からの離脱、反キリスト教的な偏見の根絶…。
これらは、米国のドナルド・トランプ大統領が1月20日に就任して以来、署名した「大統領令」の一部です(「トランプ氏が大統領令に続々署名 一目で分かる政策一覧」/朝日新聞HP)。
こうした政策からは、トランプ大統領が前回の政権時に掲げていた「米国第一主義」や、民主党政権が進めていた「リベラルな政策」からの大転換がうかがえます。
トランプ政権は、この後どこに向かうのでしょうか? それを知るためには、前回の政権時に書かれた本が参考となるでしょう。「今週のPick Up本」でも、「『もしトラ』の前に読んでおきたい 大統領時代のトランプ政治の舞台裏」として『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』(ボブ・ウッドワード/日本経済新聞出版社)を、また「トランプ大統領再選! 前政権時の内幕を暴く本から 人々の“怒り”を引き出す彼の戦略を改めて考える」として、『RAGE 怒り』(ボブ・ウッドワード/日経BP・日本経済新聞出版本部)をご紹介しました。
今回は、そうした参考書の1冊として、トランプ政権の米国第一主義や反リベラルといった動きの背後にある、文化的な“反動”――改革や革新に反対して、旧体制の維持を図ろうとする動き――の実態を明らかにした書籍を取り上げます。2020年刊行の『白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」』(渡辺靖/中央公論新社)です。
著者の渡辺氏は、慶應義塾大学教授。社会人類学の博士号を持つアメリカ研究者です。本書では白人ナショナリストたちへのヒアリングや資料収集を通して、彼らの論理や世界観を多面的に考察しています。
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