牛や羊の「げっぷ」に税を課す ―― そんな動きが、ニュージーランドで進んでいます。
2022年10月11日、ニュージーランドのアーダーン首相は、農家に対し、家畜が出す温室効果ガスの量に応じて課税する方針を発表しました(「世界初の牛の「げっぷ税」案、NZ大臣「いずれ世界は追随する」」/ナショナル ジオグラフィック日本版2022年11月21日)。
牛や羊のげっぷには、温室効果ガスであるメタンが含まれます。ニュージーランドは、「人間よりも羊の方が多い」と言われるほど畜産が盛ん。そのため、畜産に由来する温室効果ガスの排出削減は重要課題であり、「げっぷ税」構想はそれに対処するための試みです。
同記事によれば、農家の反発は大きく、構想が実現するかどうかは現時点では不透明ですが、実現すれば世界の温暖化防止の取り組みに大きな影響を与える可能性があります。
ここで視点を変えて、日本の消費者という立場から畜産物をめぐる状況を見てみると ―― 一連の物価高騰を受け、肉や卵も値上がりしていることが気にかかります。
例えば、産経新聞は2022年8月9日に食肉価格が高騰する「ミートショック」について報じていますし(「焼き肉店に淘汰の波 牛肉高騰「ミートショック」」)、NHKは12月8日に「物価の優等生」といわれる卵の価格上昇を報じています(「“物価の優等生”卵も値上がり おせち料理は3割値上げの店も」)。NHKの記事によれば、ロシアのウクライナ侵攻に起因する家畜飼料の高騰や、鳥インフルエンザの感染拡大による出荷減少などが背景にあるようです。
こうした価格高騰は、「今後、安定的に肉や卵を食べ続けられるのか?」という不安にもつながりかねません。
地球温暖化対策、そして飼料などの価格高騰や供給の不安定化。畜産をめぐるこれらの難題に、解決の道はあるのか?
その1つの解決策となる可能性があるのが、「培養肉」です。大豆などを材料にした「代替肉」とは異なり、牛などの細胞を培養して食肉にすることから、こう呼ばれています。
今週PickUpする『クリーンミート 培養肉が世界を変える』(ポール・シャピロ/日経BP)は、そんな培養肉について、その意義や将来性、スタートアップ企業の取り組みなどを旺盛な取材にもとづいて解説した本です。
本書は、「実際の生き物を飼わない」ことが特徴の培養肉の利点を、様々な面からわかりやすく説きます。本書の帯には、次のような一文が記されています。
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