「鼓腹撃壌」という言葉があります。政治が行き届き、人々が太平の世を楽しんでいるさまを表す四字熟語ですが、これは、次のような故事に基づくものです。
――古代中国の名君、尭は、ある時自分の治世がうまくいっているのか不安に思った。
そこでお忍びで領内を視察したところ、1人の老人に出会う。
老人は、腹つづみを打ち(鼓腹)、地面を踏み鳴らして(撃壌)、幸せそうに歌っていた。
「日が出れば働き、日が沈めば休む。井戸を掘って水を飲み、田畑を耕して食べ物を得る。帝の力など、私に何の影響があるだろうか」
それを聞いて、尭は天下がよく治まっていると確信し、安心したという――。
尭の優れた統治によって幸せな生活が実現しているにもかかわらず、民は尭のおかげと思っていない。一応、帝がいることは認識しているものの、特にありがたがっているわけでもない。尭は尭で、それを不満に思うでもなく、むしろ喜んでいる…。
この故事が語っているのは、リーダーの1つの理想像です。
中国古典の第一人者、守屋洋氏は、著書『世界最高の人生哲学 老子』(SBクリエイティブ)で、この故事を『老子』の次のような一節と関連づけています。
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