2000年3月号掲載
ザ・コンサルティングファーム 企業との危険な関係
Original Title :DANGEROUS COMPANY
- 著者
- 出版社
- 発行日1999年12月20日
- 定価2,200円
- ページ数501ページ
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著者紹介
概要
仕事の対価として、高額の報酬を受け取る経営コンサルタント。だが、彼らの助言をもとに成果を上げる場合もあれば、大失敗して経営基盤を脅かす事態になることもある。本書は、こうした経営コンサルティング業の実態を解き明かし、コンサルタントを活かすための方法を提示する。「コンサルタントに全て任せておけばうまくいく」という幻想を打ち破る1冊。
要約
コンサルタントを活かせるか?
現在、経営コンサルタントは大企業から中小企業まで様々な企業の内部に深く関わっている。
コンサルタントの「的を射た助言」は値がつけられないほど貴重なものとなるが、「的外れな助言」はクライアントを危険な状況へと陥れる。そうなると膨大な費用がかかるばかりか、企業基盤まで脅かされる可能性もある。
コンサルタントに資金を投入するなら、うまく活かさなければならない。
業績不振に悩む情報通信企業AT&Tは、1989年~94年までの5年間に、マッキンゼー&カンパニーやアンダーセン・コンサルティングなどの大手経営コンサルティング会社に約5億ドルという莫大な額を支払っていた。
だが、成果は上がっていない。失敗しては別の戦略に切り替え、コンサルティング会社も変えてはみたが、進むべき将来像は未だに見えていない。
AT&Tは多額の料金を支払って助言を受けたのに、それを採用しなかったのだろうか? それとも、助言が役に立たなかったのだろうか?
在籍中に、コンサルティング手続きに深く関わっていた同社の元社員は、「助言は適切だったとしても、AT&Tはそれを実行しなかったか、できなかったのだと思います。(中略)想像できることは、経営陣がいかに無能かということ以外にありません」と語る。
結局AT&Tは、コンサルティング会社が売り込むTQM(総合的品質管理)やリエンジニアリング、合理化などの「商品」を手当たり次第に購入していたにすぎないのである。
かつてAT&Tのベル研究所に勤務したことがある南カリフォルニア大学のノール教授は、同社の支払うコンサルティング料に関して、次のように批判している。「コンサルティング会社に払う費用は無駄金である。それよりも、社員にアイディアを出してもらった方がよい」。
さらに、教授はこう続ける。
「コンサルタントに依頼するのは経営者の尻拭いだ。AT&Tのような大企業は、間違うと何らかの処分を受けるため、結局コンセンサスに基づく経営になる。だからコンサルタントを引き入れるのだ。(中略) 世界一のコンサルティング会社とされるマッキンゼーの言う通りにやっていると主張すれば、反対する者などいない。しかし、マッキンゼーが世界一だとどうしてわかるのか。彼らが派遣してくる連中は皆30歳以下で、ビジネス・スクールを出たばかりだ」