2000年6月号掲載
[日本発]繁栄の発想 21世紀はここから始まる
- 著者
- 出版社
- 発行日2000年3月31日
- 定価1,760円
- ページ数269ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
グローバルスタンダードという言葉に怯え、自信喪失に陥っている日本。だが、日本が世界をリードする分野は、実は数多く存在する。日本型経営、顧客に合わせてサービスを提供する不定型サービス、「清潔好き」や「こだわり」といった日本人の気質…。日下公人氏が、ともすれば日本人が気づいていない、世界に誇れる日本の優れた点を紹介する。
要約
見直される日本的経営!
グローバリゼーションという大潮流の中、日本はグローバルスタンダードという世界標準を受け入れなければならないが、逆に世界も、日本の優れた点を受け入れることになる。日本にはそれだけの底力がある。
ところが、日本人自身がそのことに気づいていない。日本はアメリカに次ぐ経済大国にまで成長したが、それは日本には優れた能力やシステム、慣習、発想が数多くあったからである。
視点や発想を変えれば、21世紀に向けて日本が繁栄する姿はいくつも見えてくる。
例えば、「日本的経営」である。日本企業はグローバルスタンダード経営の導入に必死になっているが、世界では日本的マネジメントが見直されつつある。
「人材」こそが企業にとって最も大切な資源
情報サービス産業に代表される新しい知識産業においては、「人材」が唯一の経営資源になる。優秀な人材の採用や確保は企業の盛衰に影響するため、魅力的な報酬体系や労働環境づくりが大きな課題となっている。
このためアメリカでは今、長く勤めれば勤めるほど得をする退職金・年金制度や、長期間勤務した社員のみが恩恵を受けられる医療保険制度の導入など、福利厚生制度の充実に取り組む企業が増えている。
日本企業が大規模なリストラを進め、従来の長期雇用のための制度を廃止しているのとは対照的に、人材引き止め策は今や世界共通の課題となっているのである。
また、競争力の源泉となる人材を「能力」で評価する考え方が世界中で注目されているが、これも日本ではすでに実施されている。
欧米では、仕事の種類や内容によって決まる職種給や職務給が一般的だが、日本の多くの企業で導入されている「職能給」は職務遂行能力の高さに対する評価によって給料が決まる。まさに、人材の能力を評価するものである。
経営には真の「人間尊重」が求められている
これまで日本企業は「人間中心の経営」を掲げてきた。社員を取り替え可能な部品のように扱わず、極力、社員の雇用を守る「人間尊重」の精神こそが日本企業の強さである。
「終身雇用」の本来の意味は、経営者が優秀な社員を確保して企業に対する帰属意識を高め、ジョブ・ローテーションや権限委譲によって能力を開発し、人材を「知的資本」として磨き上げることである。