2001年2月号掲載
キャリアショック どうすればアナタは自分でキャリアを切り開けるのか?
- 著者
- 出版社
- 発行日2006年7月7日
- 定価715円
- ページ数235ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
従来のキャリアデザインの考え方は、将来的な目標を明確にし、そこに向けてキャリアアップを図るというものだった。だが著者は、この考えが成り立たなくなろうとしていると指摘。予期せぬ環境変化により、キャリアの将来像が一気に崩壊する「キャリアショック」の時代が到来していると警鐘を鳴らすとともに、この時代を自分の力で生き抜く方法を説く。
要約
「キャリアショック」とは何か?
最近、雑誌などで、いわゆるキャリアの「勝ち組・負け組」といったキャリアに関する記事が頻繁に紹介されるなど、「自分のキャリアは、自己責任でつくり上げていかなければならない」という考えが急速に広まっている。
そこで前向きな姿勢の人は、10年後、20年後のキャリアの目標を明確にし、そこに向けて一歩一歩キャリアアップを図っていこう、そのためにスキルや資格が必要ならば取得しよう、と考える。
しかしながら、計画的に1つ1つキャリアを積み上げていくというキャリアデザインの考え方が、今、急速に成り立たなくなろうとしている。なぜなら、「キャリアショック」の時代が日本にも訪れようとしているからである。
キャリアショックとは、自分が描いてきたキャリアの将来像が、予期しない環境変化により、短期間のうちに崩壊してしまうことをいう。
日本のビジネスパーソンのキャリアをめぐる論議といえば、雇用の流動化の問題がある。確かに、リストラや企業破綻などによる雇用の流動化は激しさを増している。しかし、もっと本質的な地殻変動が起きているのだ。
雇用の流動化とは、特定の企業との雇用が続いているかという視点だ。しかし、たとえ雇用が確保できたとしても、ある日突然、自分のキャリアが陳腐化し、その将来像があっという間に崩壊してしまう。それがすなわち、キャリアショックだ。
これまでは一生同じ仕事を続け、生涯を終える人たちが多かった。しかし高度成長時代以後、ホワイトカラーが急増した。その世界は、仕事は数年ごとに変化して、新たな仕事につけばそれを習得することでキャリアアップし続け、1つのキャリアを全うするというものであった。
しかし変化の激しい現代においては、1つのキャリアを生涯追求し続けることは事実上困難になっている。いつ何時、キャリアチェンジが必要になるかもしれない。つまり、キャリアショックは誰にでも確実に訪れるのだ。
日産自動車を襲った激震
キャリアショックの典型例が、ルノーに買収された日産自動車である。経営が180度転換し、同社の社員は、それまで自分のキャリアと考えていたものが一気に崩壊する現実に直面している。
例えば、社内エリートの凋落現象が起こった。これまで同社の海外展開の主流は北米だったが、北米における主要なポストは、ルノーに関係のあるアメリカ人に取って代わられることになった。それらのポストは、もはや日本人の手に戻ることはない。北米に駐在していた日本人幹部たちの多くが帰国を余儀なくされ、彼らのキャリアの将来像は完全に消失してしまったのである。