2001年6月号掲載

事例で学ぶアメリカのマーケティング

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著者紹介

概要

多くの企業では、割引やポイント制度などを導入し、顧客を自社に引き止めようとしているが、なかなか成果が上がらない。本書では、そうした事態を「顧客のロイヤルティは金では買えない」と指摘。真の顧客との関係管理――CRM=CustomerRelationshipManagementが必要だと説く。様々な業界での事例に基づき、このCRMの手法を紹介する。

要約

顧客は割引を評価していない

 今日、ありとあらゆる種類の会社が、ありとあらゆる種類のディスカウントを、「顧客ロイヤルティ・プログラム(ご愛顧感謝キャンペーン)」というもっともらしい名称の下に行っている。

 米国のスーパーマーケットの60%は、この種のロイヤルティ・プログラムを実施しており、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨークなどの大都市では、70%以上の世帯がいずれかの流通企業の会員カードで買い物をしている。

 だが調査データによれば、特定のスーパーマーケットを非常にひいきにする人でも、そこで購入するのは日用品の半分にすぎない。また、非常に高い割合でひいきの店を変えている。

 つまり、企業が利益を削ってディスカウントを行ったり、ポイントに応じてプレゼントを提供しても、顧客はそれに価値を感じていないのである。

 もちろんこうしたプログラムによって、売上を伸ばしている例もある。しかし、それで顧客のロイヤルティを築けている企業はほとんどない。

 あるエキスパートは言う ―― 「大半のロイヤルティ・プログラムが失敗するのは、顧客がそれにどう価値を感じているかを知らないからである」と。

 顧客ロイヤルティを築くためには、顧客が「本当に望んでいるもの」を提供する必要がある。

 企業は顧客情報をせっせと集めてデータベース化し、それを基に商取引を増やそうと努力する。いわゆるデータベース・マーケティング、ダイレクト・マーケティングである。

 長期的な利益を得ようとするなら、こうした一見もっともらしい「顧客ロイヤルティ・プログラム」から脱却し、真の顧客との関係の管理、すなわちCRMへと舵を大きく切り替える必要がある。

 

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