2002年6月号掲載
知的プロフェッショナルへの戦略 知識社会で成功するビジネスマン11の心得
著者紹介
概要
知識社会では、知識だけで勝負しても生き残れない。成功を求めるなら一歩先を行く「知的プロフェッショナル」になれ ―― そう主張する著者が、知的プロフェッショナルになるために必要な自己投資のあり方を指南する。その自己投資とは、資格の取得に金をかけることではない。日々の仕事の中で「自分という作品」を磨き続けるアーティストになることだ。
要約
知的プロフェッショナルとは?
世間では、「これからはナレッジ・ワーカー(知識労働者)の時代だ」と言われている。
確かにこれからは「ナレッジ(知識)」が最大の経営資源となる時代だから、知識労働者が求められているのは間違いない。
しかし、私たちはただ「求められる」労働力であればいいのか?
求められるだけの人材では、時代を引っ張っていくリーダーにはなれない。当座の安定した職があれば満足だという人は、求められる人材になればよいだろう。
しかし仕事にやりがいを求め、人生に生きがいを求めるなら、定職があるだけで満足せず、職場で「活躍できる人材」を目指す必要がある。求められる水準を超えて真に活躍できる人材が、「知的プロフェッショナル」と呼ばれる。
弁護士という知的職業を例に取ると、弁護士には多くのナレッジ(専門知識)が必要とされる。法律に詳しく、判例、法学関係の論文にも詳しくなければいけない。
これらはいずれも高度な専門知識であり、いずれも言葉で表された知識である。これらの知識を習得し、使えることが知識労働者としての弁護士の条件(資格)だ。
しかし、これだけではまだ新米の弁護士にすぎない。熟練し、法曹の現場で活躍している弁護士は、ナレッジだけで仕事をしているわけではない。
こうしたベテランの弁護士には、依頼人の話を聞き、その心を開いて問題の本質をつかみ取る能力もあれば、法廷で裁判官を説得する話術や言語センスもあり、相手方の弁護士との交渉テクニックもある。
こうした能力やセンス、テクニックは「言葉では表せない知識」だ。それは本を読んだり授業を受けたりして得られる知識よりも深いものだから、「ディープ・ナレッジ(深層知識)」と呼ばれる。
言い換えれば、それは実際の仕事の体験を通じてしか得られない「職業的な智恵」である。そして専門的な知識だけでなく、この職業的な智恵を使いこなせる人だけが「知的プロフェッショナル」になれる。