2003年4月号掲載
経営者が語るべき「言霊」とは何か リーダーの「言葉の力」が企業を変える
著者紹介
概要
ビジョンや理念、戦略などを熱く語っているが、どうも社員の心に届かない…。そう感じている経営者の方は必読。言葉が相手の“腹”に響かない理由、そしてどうすれば、「力に満ちた言葉=言霊」とすることができるかを指し示す。なお、本書は語り口調を生かした「書籍講演」とも呼べるユニークなスタイルで、話を聞くように内容がすんなり頭に入る。
要約
「信ずる力」が「言霊」を宿す!
経営者にとって、「究極の役割」とは何か?
その答えは人により、「将来のビジョンを描くこと」「企業理念を定めること」「適切な経営戦略の策定」と様々だろうが、ある意味において、これらは1つの役割に集約できる。
それは、「言葉を語る」ということだ。
例えば、策定されたビジョンや戦略は、経営者から社員に語られる。理念もまた、経営者から顧客、社会全体へと語られなければならない。
ただし、それは単に言葉を語る、ということではない。それは、社員の心を励まし、顧客の気持ちを引きつける言葉 —— 「力に満ちた言葉」を語ることでなければならない。
日本では、この「力に満ちた言葉」を「言霊」という。「言葉に魂が宿る」という意味だ。
この「言霊」を語って社員を鼓舞することこそが、経営者の究極の役割である。
経営環境が厳しさを増す今日、そのことの重要性は増す一方だ。しかし現実には、経営者の語る言葉の多くは「力」を持たない。なぜか?
それは、その言葉を発する人間が、「腹」を据えて話していないからである。換言すれば、自分の語る言葉を、自ら深く「信ずる力」を持っていないということだ。
これはリーダーシップの本質に関わる問題でもある。例えば、100人のうち99人が「もう駄目だ」と言った時、ただ1人であっても、「まだ勝負は終わっていない!」と言えるかどうか。
リーダーシップの本質とは、その組織、人間集団の可能性を「信ずる力」なのである。