2003年7月号掲載
GE式ワークアウト
Original Title :THE GE Work-Out
著者紹介
概要
賛否両論はあるものの、間違いなく20世紀を代表する経営者の1人、ジャック・ウェルチ。氏の「ナンバー1、ナンバー2戦略」の経営法はつとに有名だが、伝統ある巨大組織GEの変革のカギとなった「ワークアウト」もまた、すばらしい経営手法だ。本書は、組織の壁を打ち破り、組織に革命を起こす手法「ワークアウト」の本邦初・完全解説版である。
要約
ワークアウトがGEを蘇らせた!
利益率をいかに向上させるか、商品を顧客に提供するにはどんな方法が最も効果的か、競争に勝ち続けるにはどうすべきか…。企業は、こうした様々な課題に日々直面している。
多くの企業は、これらの課題にうまく対応できる組織を目指し、組織変革への様々な努力をしている。だが、その努力が実を結ぶことは少ない。
しかし、数十万の社員を擁する巨大企業GEでは、ある1つの変革プロセスが徹底的な組織革命の火付け役となり、今日の繁栄をもたらした。それが「ワークアウト」と呼ばれるものである。
1981年、ジャック・ウェルチがCEOとしてGE再建に乗り出した時、同社は深刻な状況にあった。
分権化が事業の拡散を招き、その数は150を超えていた。そして財務管理を重視するやり方が、重層的な管理者階層、巨大なスタッフ部門、息苦しい官僚組織化を招いていた。
このような組織では、多くの社内業務を処理しなければならない。そのため、各事業部は内向きになり、市場の変化に無頓着だった。意思決定は遅く、しかもたいていは行動につながらなかった。
そこで組織改革や人員削減などが断行されたものの、内部の仕事のやり方は旧来のままだった。こうした現実に頭を痛めたウェルチは、現場の社員に、業績の向上には何が必要か尋ねた。
「アイデアは山ほどあるが、誰も耳を貸してくれない」—— これが繰り返し聞かされた答えだ。
ウェルチが、彼らのマネジャーに「なぜ従業員にアイデアを実行させてやらないのか」と尋ねたところ、返ってきたのは、「時間がないのです。しかも何かのアイデアを試そうとしても多くの承認が必要で…」というお決まりのセリフだった。
従業員にはアイデアがあるが、権限をもつ者は誰も動かない。マネジャーには権限があったが、アイデアを評価し承認する時間がない —— 。
ウェルチは、こうした“組織の動脈硬化”がGEを死に至らしめる元凶だと確信し、そしてワークアウトを生み出したのである。