2004年5月号掲載
現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件
著者紹介
概要
企業の競争力の源泉とは何か? それは「現場力」である、と著者は言う。つまり、どんなに素晴らしい戦略を打ち出しても、それが実行されなければ所詮「絵に描いた餅」。企業の戦略を実行する当事者である現場の持つ力が、最大の競争力の源泉ということだ。この、現場力の重要性とその鍛え方について、豊富な事例を交えつつ解説する。
要約
「現場力」とは何か?
「強い企業」 ―― 例えば、トヨタでは年間61万件もの改善提案が出され、その91%が実行されている。あるいは花王では、全社挙げてのコスト削減活動で、年間100億円ものコスト削減を遂げている。こうした強さは、何に由来するのか?
その答えは「現場力」にある。
強い企業の条件
世界と伍して戦うべく、どの企業も競争に打ち勝つための「強さ」を手に入れようと苦しんでいる。では、強い企業とはどんな企業なのか?
強い企業とは「高い経営品質を誇る企業」と言い換えられる。その経営品質とは、次の3つの要素で構成されている。
①競争戦略の品質
競合他社と差別化し、優位性を構築するためには、競争戦略の品質がまず問われる。
②オペレーションの品質
戦略を素早く、効率的、効果的に遂行する能力に長けたオペレーションがなくては、戦略は「絵に描いた餅」で終わってしまう。
③リーダーシップの品質
競争戦略とオペレーションを結合させ、企業としての総合力に昇華させるためには、卓越したリーダーシップが求められる。
強い企業を目指すということは、この3要素の品質を磨いていくということに他ならない。
その第一歩は、合理的な競争戦略を選択することである。市場環境、顧客の変化などを見据えて、「勝てる戦略シナリオ」を描かなければならない。
しかし、いくら合理的で「正しい」戦略を打ち出しても、それが実行されなくては意味がない。
戦略を正しく実行し続け、結果を出す主体は、企業のオペレーションを担う「現場」である。