2004年5月号掲載

タイガー・ウッズの強い思考 常勝アスリートに学ぶ頭と心の使い方

Original Title :Think Like Tiger:An Analysis of Tiger Woods's Mental Game

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著者紹介

概要

「世界最強のゴルファー」の名をほしいままにして、なおも進化し続けるタイガー・ウッズ。あの強靱な精神力はどこから生まれたのか? 超人的にさえ思えるタイガーの強さの秘密を、メンタル・コントロール(精神の自己管理)の視点から分析する。ゴルフの上達に限らず、様々なシーンで武器となる「強い精神力」を身につけるヒントを教えてくれる。

要約

結びつけられた「頭」と「身体」

 世界最強、そして史上最高のゴルファーであるタイガー・ウッズ。その人並みはずれたパワフルなスイングを可能にしたのは、身体のしなやかさをはじめとする肉体的資質である。

 しかしその一方で、タイガーの強さには、これまで見過ごされてきた重要な側面がある。それは、驚異的な「メンタル・ゲーム」こそが彼のゴルフの原動力であり、またその能力が決して生まれつき備わっていたものではない、という点だ。

 とてつもないプレッシャーの中でスーパー・ショットを放ってみせるタイガーは、メンタル面で次のような特徴を持っている。

  • ・ラウンドの最初から最後まで自信を持ち続ける
  • ・ショットを打つ準備段階で強固な集中力の殻に閉じこもる
  • ・ターゲットに意識を集中させ、プレッシャーがかかってもその集中力を保つ
  • ・リズミカルでパワフルなスイングを絶えず視覚化し、実際に反復する
  • ・ラウンド中、自分の感情をコントロールする

 自分の能力を最大限に引き出す唯一の近道は「マインド・コントロール」、つまり自分の心を管理することである。

 このことを、タイガーはプロ・ゴルファーの誰よりも知り抜いている。そしてその原点は、父親のアール・ウッズによる幼少期のメンタル・トレーニングにある。

 アールがレッスンを始めたのは、タイガーがまだよちよち歩きだった頃。その方法は、アールが自宅のガレージ内に設置した練習用ネットに向かってボールを打つのを、ただひたすらタイガーに見せることだった。

 幼いタイガーには、どうスイングすればいいのかなど理解できるはずもない。クラブを持たせたところで、悪いスイングの癖がついてしまうだけだ。そこでアールはまず、「イメージでボールを打つ」ことを覚えさせようとした。

 彼が打つ動作を見るたびに、タイガーは良いスイングの要素を自然と目で覚えていった。つまり、視覚を通じて、スイングの映像を脳にインプットしていったのだ。

 タイガーはアールのレッスンを通じて、「頭の中でこれから打つショットを映像として描ききる」ことの重要性をしっかりと教わった。

 実際、ショットを打つ前のタイガーを見ると、どこか遠くを見つめるように非常に集中した目をしており、ある種のトランス(忘我)状態に入っているような様子である。また、ショットの構えに入る時も、まるでターゲットを睨みつけるかのように精神を集中している。

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