2004年8月号掲載
シニアビジネス 「多様性市場」で成功する10の鉄則
著者紹介
概要
やがて定年を迎える「団塊の世代」。誰もがそこに大きなビジネスチャンスを期待しがちだが、「巨大市場は生まれない」と著者は一蹴。キーワードはシニア世代の“多様化”であり、そのニーズを捉えるヒントは、高齢化の先進国、米国の成功事例にあるという。そこから学べるのは、まずシニア=「年寄り」という考えを捨てることが、成功への近道ということだ。
要約
シニア世代の多様な消費行動
ここ数年、シニア・団塊市場をターゲットに商品・サービス開発に取り組む企業が急増している。
しかし、実際に取り組み始めると、壁に突き当たる担当者が非常に多い。なぜか?
それは、「視野が狭い」からである。
多くの企業は、「シニア市場」「団塊市場」という大きなカタマリとして市場を捉えている。
だがシニア世代の消費行動は多様であり、その市場は極めて多様性が強い。言い換えればシニア市場は「多様なミクロ市場の集合体」なのである。
従って、市場を見つめる視野を「対象顧客以外の世界」に広げ、「多様性市場への適応力」を持つことが、シニアビジネス成功のカギとなる。
そこで参考になるのが、アメリカのシニア市場における先進事例である。日本と同様に「経済成熟国」であり、「モノ余り」の時代に突入していることに加え、1950年代から徐々に高齢化が進行しており、日本よりもシニア向けの商品・サービスの開発が進んでいるからだ。
鉄則:顧客の「不」の解消を商品に転換せよ
現代では、ほとんどの市場が飽和しているように見える。だが、実はそうではないことが多い。フィットネスクラブ市場もその1つである。
少子高齢化が進む中、フィットネス業界は中高年層顧客の開拓を進め、それはある程度成功してきたが、新規会員数の増加ペースは徐々に頭打ちになっている。しかし、中高年層全体で見ると、従来型フィットネスクラブがとらえていない多くの潜在顧客が存在しているのだ。
それを証明するのが、アメリカで急成長を遂げている女性専用フィットネスクラブ「カーブス」だ。1992年に設立されて以来、爆発的に店舗を増やし、その数は全世界で7000店以上に上る。
顧客の平均年齢は50歳。その大半は従来型のフィットネスクラブに入会したことがない。