2005年3月号掲載
なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか? 行動のための自己変革トレーニング
著者紹介
概要
カウンセリングなどで用いる心理療法。これを応用して、「やらなければならないのに、つい先送りしてしまう」原因を探り、行動に移す方法を紹介する。この手の類書は多いが、そのほとんどは、行動することの大切さを訴えるだけで、実際にどうすればよいかが語られていない。そんな中、先送りする原因を根本から探り、解決への具体的な道筋を示しているのが特徴だ。
要約
先送りの心理メカニズム
「思い切ってチャレンジしてみようと思うのに、ためらってしまう」「アイデアを思いついても、実行することができない」…。
このように、行動した方がいいと頭ではわかりながら、先送りしてしまうことがある。
その原因は、「やろう」ということに対し、「妨げとなるもの」があるからだ。これを取り除ければ、思ったことを行動に移せるようになる。
では、妨げとなるものとは一体何なのか?
それは、「思考」「感情」「行動」の3つのレベルで確認することができる。
① 思考レベル
何かを「やろう」と思いながらも行動に移せない時、頭ではどんなことを考えているだろうか?
「うまくできるだろうか」「私には無理かもしれない」「面倒くさいな」といった、行動を抑制することを考えているはずである。
このように、ある場面に直面した時、自動的に頭の中に浮かんでくる考えのことを、認知療法(心理療法の一種)では「自動思考」と呼ぶ。
この自動思考は、各人の「信条体系」、つまり、信念、考え方、期待、こだわり、思い込みなどによって発生する。
例えば、「うまくできるだろうか」という自動思考が浮かぶ人は、「成功しなければならない」という自分自身への期待や、「失敗すべきではない」というこだわりを持っている。
このような信条体系を持っていると、自分にプレッシャーをかけることになる。そして「失敗しないために、準備をしてから後でゆっくりやろう」と考え、行動を先送りしてしまうのである。