2005年4月号掲載
組織力を高める
著者紹介
概要
「最強の企業」とは、「最強の組織」と同義ではないか。企業の行く末を大きく左右する「組織力」。本書は、「なぜ、組織力の差が生まれるのか」「どのようにしたら組織力を高めることができるのか」「その中で、ビジネスマンとしての資質をどう高め、どう発揮していくのか」という観点から、具体的な方策を提示する。「最強の組織をどうつくるか」のレシピである!
要約
「組織力」とは何か?
同じような戦略を持ち、同じようなオペレーションを行っていても、組織によって業績に大きな差が生じることがある。
この差をもたらすものは何か? それは、組織そのものに根ざした「組織力」である。
組織は、消費者ニーズを見極め、それに合わせて自らを変化させていかなければならない。そして、迅速にモノやサービスを世に送り出して、適切な利益を上げなければならない。—— この2点が、組織の力を定義する際に重要な要素となる。
従って、組織力とは「組織が自らを変革し、結果を出していく力」に他ならないといえる。
その組織力を構成するのは、「遂行能力」と「戦略能力」の2つの要素である。
遂行能力とは、「物事を着実に実行していく力」であり、「結果を出す上で必ず必要となるオペレーショナル・エクセレンス(卓越した現場の実践力)」と定義できる。
一方、戦略能力とは「外部環境の変化に適応していく力」である。
そして戦略は「資源配分とその運用の方針」と定義できる。限られた資源を有効活用するには、その配分と使い方が、外部環境、特に顧客の目から見て理にかなっていなければならない。それゆえ、戦略は顧客の視点で評価されるべきものだ。
市場や顧客、競合他社、さらには従業員までもが、絶えず変化している。いくら精緻な戦略を作っても、完璧を期すことはできない。むしろ戦略は「シンプル」で「整合性」のある方が、環境の変化に柔軟に対応できる力を企業にもたらす。
従って、戦略能力とは、「シンプルで整合性のとれたビジネスモデルを構築し、組織と戦略が共に進化していく適応力」といえる。
このような遂行能力と戦略能力が合わさって組織力が生まれるのだが、それは足し算ではなく掛け算である。つまり、どちらか一方でも欠ければ、強い組織力は望めない。