2005年4月号掲載
人事コンサルタントがそっと教える 成果主義を自分の味方につける法
著者紹介
概要
成果主義は是か非か。その議論はともかく、もはや成果主義導入の流れは、押しとどめようもないといえる。ならば、このまま不満を言い続けるか、それを踏み台にして勝ち残るか。後者を選ぶ人へのヒントとなるのが本書だ。企業側から見た「成果主義時代に評価される人材」をあぶり出すとともに、社員としてどのように対処するのかを具体的にアドバイスする。
要約
時代の流れは成果主義へ
現在、日本企業における成果主義人事は、第3段階を迎えている。
第1段階は、バブル崩壊後に年功序列や職能資格制度に限界を感じた先進的な企業が、他社に先駆けてトライアルした1990年代半ば。
第2段階は、それを眺めていた企業の多くがこぞって導入に踏み切った2000年前後。その後、様々な問題点や失敗例が浮き彫りになるに従い、メディアを中心に“セイカシュギ”批判が高まり、企業も社員も矛盾を強く感じるようになった。
そして第3段階とは、導入企業が制度内容の見直しと、運用・定着のための継続した努力を要する時期に差しかかっていることを指す。
「成果主義 8割導入済み」—— 。04年5月の日本経済新聞に、このような見出しの記事が掲載された。成果主義型の賃金制度を部分的にせよ採用している会社が、全体の80%に達したというのである。
調査対象は、上場企業や一部の有力企業に限られてはいるものの、中小企業の場合でも、このような傾向に大差はない。
近年、「成果主義は是か非か」という議論が、新聞や雑誌を賑わせてきたが、賛否を議論する段階は終わった。要するに、企業も、そこに働く社員も、いかに成果主義を活用し、会社の業績向上や自らの待遇およびやりがい向上につなげていくか、という段階に入っているのである。
「成果主義は会社を滅ぼす」「成果主義は社員を不幸にする」など、昨今では様々な雑誌で成果主義批判の特集が組まれるようになった。
それを読んだ人の多くは、「公平な評価ができていない」「皆が短期の業績しか追わなくなった」といった導入企業の社員が漏らす不満の声に同調し、「やっぱりセイカシュギは日本には合わない」と変な納得をしてしまう —— 。
しかし、これでよいのだろうか?
確かに成果主義は万能ではないし、人事制度を変えても会社が一向に良くならないケースもある。