2005年7月号掲載
「徹底力」を呼び覚ませ! 圧勝するためのハードボール宣言
Original Title :Hardball
- 著者
- 出版社
- 発行日2005年4月21日
- 定価2,310円
- ページ数256ページ
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著者紹介
概要
圧倒的な強さを発揮して市場を席巻し、勝ち続ける企業を、本書は「ハードボール・プレーヤー」と呼ぶ。彼らは、単なる優位ではなく、「決定的優位」を目指している。そのために、彼らがしていることとは何か? その普遍的、かつ硬派な「6つの戦略」を説く。長年多くの企業を見続けてきたコンサルタントならではの、「今だから話せる」生々しい事例が面白い。
要約
「ハードボール」の5つの原則
産業界の勝者は、常に「ハードボール・プレーヤー(真剣勝負を志す企業)」である。
彼らは、競合他社を上回る優位性を確立するため、全ての経営資源と戦略を合法的に駆使する。
企業が競争優位を獲得すれば、顧客が増え、市場シェアが拡大し、利益が向上する。こうした好循環をしばらく維持できれば、競争優位はより強固になり、やがて「決定的優位」に昇華する。決定的優位を得たなら、単なるマーケット・リーダーをはるかに凌ぐ、強力なポジションに到達できる。
その実現のために、ハードボール企業は全精力を注ぎ込んでゲーム(競争)に取り組んでいる。
例えば、デル・コンピュータは、ハードボール・プレーヤーである。ヒューレット・パッカードが業績悪化を発表し、PC市場における価格競争をその理由に挙げたことがあったが、その直後、デルは全商品の値下げを発表した。倒れた相手にすかさず蹴りを食らわすような話である。
このようなハードボール・プレーヤーは、次の5つの原則を尊重している。
① 容赦なく競争優位を追求する
ハードボール・プレーヤーは、今日の競争優位に安住せず、常に明日の競争優位を求めている。
例えばウォルマートは、競争優位を獲得する流通システムを築いた。だが、それに満足せず、「エブリディ・ロープライス」を目指すことで、さらなるコスト削減と販売数量の増加に挑戦した。
販売数量を増やした後は、その数量をテコにサプライヤーへの影響力を強化し、マーチャンダイジングと製品ミックスを支配することで、一層の販売量の増加を実現した。今も同社は、このシステムをぎりぎりまで締め上げている。
② 競争優位を決定的優位に昇華させる努力を怠らない
単なる競争優位は、他社に簡単に奪われやすい。
ハードボール・プレーヤーが追求するのは「決定的優位」だ。それは、ライバルが真似ようのない、また追いつきようもない優位である。