2005年11月号掲載
影響力の武器[第二版] なぜ、人は動かされるのか
Original Title :INFLUENCE:SCIENCE AND PRACTICE, 4th Edition
- 著者
- 出版社
- 発行日2007年8月31日
- 定価3,080円
- ページ数469ページ
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著者紹介
概要
「欲しくもないモノを買わされてしまった」「怪しい儲け話に乗せられてしまった」…。このような事態に陥る理由は何なのか? 社会心理学の分野でロングセラーを続け、米国では社会心理学のテキストとしても使われている本書は、そのタイトル通り、人に影響を与え、人を動かすための心理を解説している。なお、続編である『影響力の武器 実践編』も発行されている。
要約
「影響力の武器」とは?
七面鳥の母鳥の育児は、ヒナ鳥の「ピーピー」という鳴き声が引き金となって始まる。母鳥は、ヒナ鳥が鳴けば面倒を見るが、鳴かなければ無視したり、あるいは殺してしまうことさえある。
その行動は、1つの音によって自動的にコントロールされているロボットのようなものだ。
例えば、七面鳥の天敵である毛長イタチの人形にテープレコーダーを埋め込み、ヒナ鳥の鳴き声を流しても、母鳥は面倒を見ようとする。
このような自動的な行動パターンは、人間にも見られる。
例えば、ある宝石店では、なかなか売れないトルコ石を半額にしようとして、誤って2倍の値段をつけたところ、数日で売り切れた。なぜか?
お客の多くは裕福な観光客で、トルコ石について大した知識は持ち合わせていなかった。商品の品質についてよく知らない場合、人はしばしば「高価なもの=良いもの」という標準的な原理を用いようとする。
良い宝石を欲していた観光客は、価格が釣り上げられた宝石を見た時に、これは買う価値があるものだと信じ込んだのである。
この例が示すように、人間の行動の多くは自動的で、紋切り型である。たいていの場合、それが最も効率的な行動の形態であるからだ。
このような、我々の行動に影響を与えるような力、すなわち「影響力の武器」は6つある。
①返報性のルール
ある大学教授が、全く知らない人々にクリスマス・カードを送るという実験を行った。すると、返事が山のように来た。
カードをもらった人々は、その大学教授が何者か調べもせず、自動的に返事を出してしまったのである。