2008年11月号掲載
新版 営業の「聴く技術」
著者紹介
概要
営業は、ただ売り込むだけでは成功は難しい。大切なのは、まず顧客を知り、相手のニーズを明らかにすること。本書では、そのための営業スキル「SPIN」 ―― 質問を通じて顧客が抱える問題を明確にし、その解決への道筋を示して、顧客の気持ちを“前向き”にする手法を紹介する。こうして顧客の心理をつかんだ上で商品説明を行えば、商談成功の確率はぐっと高まる!
要約
顧客の抱える「2つのニーズ」
昨今、多くの企業が、コンサルティング営業、ソリューション営業、提案営業を標榜している。
これらの営業手法は、顧客のニーズ(課題)を「知る」ことがスタートであり、できる営業パーソンは説明から入るのではなく、質問から入ってまず顧客のニーズを把握しようとする。
では、顧客のニーズとは何か?
顧客のニーズは、「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」とに分類することができる。
潜在ニーズとは、「うちの車は最近故障が多いんですよ」というような、買い手が持っている不完全な状況(問題・障害・不満)の認識を買い手が発言したこと、と定義できる。
この段階では、買い手にとって前向きな購入意欲が育っていないので、売り手がいくら商品説明をしても買ってくれない。
顕在ニーズとは、「セダンにするかRVにするか迷っているんだ」といったもので、買い手が問題を明確に自覚した結果、生まれる解決への願望や欲求の発言のこと、と定義できる。
買い手の発言は明らかに購入意欲を感じさせる内容だから、売り手は商品説明のタイミングだと判断してよい。
ニーズとは変化するものである。時間の経過とともに変化する場合もあるが、売り手と買い手の会話を通して変化させることが可能だ。
売り手が買い手の立場に立ち、上手に会話をコントロールできれば、潜在ニーズ(買わない)から顕在ニーズ(買う)へ持っていくことができる。