2005年12月号掲載

ザ・プロフェッショナル 21世紀をいかに生き抜くか

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著者紹介

概要

平成不況の中にあって、能力主義、実力主義という言葉とともに、「プロ」「プロフェッショナル」という言葉が頻繁に使われている。だが、本当にその意味は正しく理解されているのだろうか。プロフェッショナルとは? プロになるためには? ―― 大前研一氏が自身の経験をもとに、全てのビジネスマンへ、語りかけるようにその必須条件を説く。

要約

「プロフェッショナル」とは?

 「プロフェッショナル」の語源は“profess(プロフェス)”で、これは「神に誓いを立てて、これを職とする」という意味の言葉である。

 人命を扱う医師や、人間の行為の善悪を判断する弁護士などは、古の時代よりプロフェッショナルと見なされた。やがては、会計士や税理士、大学教授など国家資格を取得した人々にも広げられ、それが一般的な認識として定着している。

 しかし、このプロフェッショナル観は、明らかに時代と齟齬をきたし始めている。

 例えば、本当に医師免許があるのかと疑いたくなるような医療ミス、エンロン・スキャンダルをはじめとする会計士の粉飾決算など、プロフェッショナリズムの不在は言うまでもない。

 要するに、プロフェッショナルは職業の種類によって定義されるものではなくなっているということだ。医師や弁護士の中には、単に国家資格を持っているだけのアマチュアもいるのである。

 ビジネス・プロフェッショナルとは、まず、己の技量を一生かけて磨き続ける覚悟ができている人であり、それを愉しめる人である。

 しかし、たいていの人は、自分の限界を自分で決めており、その多くがかなり手前に設定されている。なぜなら、今までの経験と相談するからだ。そのような人は「できるわけがない」と思った途端、すぐ諦めてしまう。これは「知的怠慢」である。

 知的怠慢とは、自らの成長を放棄すると同時に、顧客に最高の価値を提供するのを諦めることである。このような人が増えれば、組織は活力を失い、やがては立ち行かなくなってしまう。

 それを育てるのは、“規律”、あるいは“価値観”である。例えば、マッキンゼー・アンド・カンパニーにおける規律とは、「顧客を最優先に考え、最高の価値を届ける」ことだ。そのために、コンサルタントたちはセルフ・ディベロップメントに努める。そうでなければ、顧客から信頼されることも、同僚から評価されることもない。

 ビジネス・プロフェッショナルに「妥協」の2文字は厳禁である。妥協とは自分の都合であり、甘えた態度である。妥協することに頓着のない人に、いくら最高の教育を施しても、その学習効果のほどは知れている。

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