2006年3月号掲載
団塊・シニアビジネス「7つの発想転換」 多様性市場の壁を突き破れ!
著者紹介
概要
「団塊世代はビートルズ世代」「シニアは金持ち、時間持ち」…。あなたはこのように決めつけていないだろうか? 団塊・シニア世代は、1つの塊として語られることが多い。だが、社会が成熟した現代において、それを「均質のマス・マーケット」と捉えるのは誤りだ。本書は、今後ますます多様化するその市場で、ブレークスルーを起こすためのヒントを多数提示する。
要約
団塊・シニアビジネス「7つの壁」
団塊・シニア世代を対象としたビジネスに取り組む企業が増えている。しかし、その多くは苦戦しているのが現状である。なぜか?
高度成長期は、多くの人が同じような収入レベルで、同じような生活をしていた。このため団塊市場は、「均質のマス・マーケット」のようだった。
ところが、モノにあふれた現代は違う。団塊世代の消費行動は非常に多様で、団塊市場とは「多様なミクロ市場の集合体」なのである。
そうした市場の変化に気づかないため、「壁」に突き当たって苦労する事例が多い。その壁は、次の7つに大別できる。
* * *
①市場調査をしても顧客のニーズがつかめない(市場調査の壁)→ 市場調査はあてにするな
シニア市場に参入しようとする企業が、顧客のニーズを知る手段として頻繁に行うのが市場調査である。近年は、インターネットを活用したネットアンケート調査を行う企業が増えている。
だが、綿密なアンケート調査に基づき開発した商品が、実際には売れないことが多い。それは、アンケートという手法に限界があり、顧客の「潜在ニーズ」をつかむことができないからである。
顧客の潜在ニーズをつかむには、顧客に関する「全体情報」を知ることが必要である。
エイビス・レンタカーでは、1990年代後半に、顧客満足の基準を見直そうと、レンタカーを借りにくる顧客がどんな体験をしているかを調べた。
顧客の服に小型カメラを仕組んだり、レンタカーの返却場所にモニターカメラや録音機器を設置して、顧客の顔の表情や声の変化を調べたのだ。
この結果わかったのは、それまでエイビスが顧客のために有効だと思っていたことと、実際に顧客が求めていたことが異なっていたことだ。